債務整理を行った後は、信用情報機関に事故情報が5年~10年登録されてしまうため、その期間は原則として銀行などに住宅ローンの申請をしても、審査に落ちます。
いわゆるブラックリストに載った状態になっているからです。
ただ、早く住宅ローンを組みたい人の中には、それでも審査に通った人はいないか、絶対に可能性がないのか、気になるところだと思います。
そこで、ここでは債務整理中でも住宅ローンが組めた人のケースを紹介しながら、その傾向や特徴を解説していきます。
目次
債務整理中に住宅ローンの審査に通ったケース
まず、債務整理中でも住宅ローンの審査に通ったケースを4つご紹介していきます。
任意整理の返済真っ最中でも住宅ローンを組めた
Yahoo!の知恵袋を探していると一人だけ、任意整理の返済中でも住宅ローンを組めた人がいらっしゃいました。
具体的には、以下のような条件でも審査に通って住宅ローンが組めたとのことです。
- 任意整理後でまだ返済中
- 車のローン70万円
- 消費者金融の借入:2件
- 金利のタイプ:固定金利
- 家族の事情:娘さんは学費が掛からない学校に通っている
任意整理での残債だけでなく、それ以外にも、任意整理の対象にしなかった消費者金融からの借金や車のローンも返済中なのに、住宅ローンの審査に通ったというのは、ちょっと奇跡みたいな話です。
その一方で、時系列や金融機関の名称など、肝心の情報が載っていないので、状況が分かりづらいところがあるのも事実です。
ただ、このような希望的なケースもあることを知る上で、ご紹介したしました。
ろうきん(労働金庫)で住宅ローンを組めた
次にご紹介するのは、ろうきん(労働金庫)で任意整理後に事故情報が消えていない、つまりブラックリストに載っている段階でも住宅ローンが組めた人の事例です。
こちらのサイトで紹介されています。
こちらの方は、2008年に3社から150万円の借金に対して任意整理を行い、2009年に完済をしたとのとです。
本来であれば、2013年までは信用情報機関に事故情報登録されるので、それまでは住宅ローンを組むのは難しい立場だと言えます。
しかし、2012年にろうきんで住宅ローンを申請したところ、以下の条件で審査に通ったとのこと。
- 頭金:600万円
- 借入希望額:2,500万円
- 金利のタイプ:固定金利
- 返済方法:35年定額払い
- 不動産のタイプ:土地新規購入&新築戸建
また、属性に関しては、
- 年齢:30歳
- 年収:500万円(手取り)
- 勤務先:東証1部上場企業
- 勤続年数:3年
という方です。
ろうきんの住宅ローンの審査は一般的に厳しいと言われています。
ただ、こちらの方が住宅ローンに申し込んだのは、債務整理の事故情報が消える直前だったことは、大きかったはずです。
また。東証1部の上場企業に勤めていらっしゃるという点も審査通過にプラスになったと思います。
り〇な銀行で住宅ローンの審査に通った
こちらの方は2010年9月頃に、債務整理中(債務整理を行った情報が残っている状態)でも、り〇な銀行で、住宅ローンの審査に通ったと言われています。
審査に通った男性の属性は以下の通りです。
- 年齢:37歳
- 年収:470万円
- 大手企業勤続:10年
引用元だと、少し時系列が分かりづらいので、分かりやすくまとめると以下のようになります。
- 平成17年(2005年)11月:債務整理の事故情報が信用情報機関(JICC)に登録される
- 平成18年(2006年)5月:債務整理の残債を完済
- 平成22年(2010年)9月頃:35年ローンで2,900万円の住宅ローン審査に通る
- 平成22年(2010年)11月:債務整理の情報が消える予定
- 平成23年(2011年)5月:完済情報自体が消える予定
こちらの債務整理中といっても、債務整理の事故情報が消える直前だったので、住宅ローンの審査に通った可能性が高いと言えますね。
ただ、り〇な銀行以外は、すべて審査に落ちてしまったとのことなので、債務整理の情報が完全に消えるまでは、簡単ではないことが分かります。
フラット35で住宅ローンの審査に通った
住宅ローンの中では、フラット35も審査が甘いのではと言われています。
実際、こちらのスレッドを見ると、債務整理中でもフラット35の審査に通った方がいらっしゃいます。
その方の事情を簡単に書くと以下のようになります。
- 4年前に任意整理を行って2年前に完済
- 地銀2行に申し込むが審査に落ちる
- 上場企業に勤務
- 借入比率25%
任意整理後は、約5年間、信用情報機関に事故情報が登録されていますが、こちらの方は、フラット35に融資を申し込んでから1ヶ月で審査に通ったとのことです。
債務整理中でも住宅ローンを組める条件とは?
このようにいろいろ調べてみると債務整理中でも住宅ローンが組めた人は、数は多くありませんが何人かいらっしゃることが分かりますね。
では、実際に債務整理中でも住宅ローンを組める条件にはどういったものがあるのでしょうか?
事故情報が消える直前である
債務整理中に住宅ローンの審査に通った人の体験談を聞いてみると、あと、もう少しで信用情報機関の事故情報が消える直前で、申し込んだら審査に通ったというケースが多いです。
もちろん、債務整理の情報が信用情報機関に登録されると、それだけで審査に厳しくなることは間違いありません。
しかし、審査をする人は、その情報がいつ登録されて、いつ消えるのかは知ることができるので、事故情報が登録されたばかりの人と、もう少しで事故情報が消える人では、心象にかなりの違いが出て来るのは、言うまでもないとのことです。
ですから、債務整理中の人は、あとどれくらいで、事故情報が信用情報機関から消えるのか、情報を把握した上で、審査を受けるタイミングを見計らっていきましょう。
属性が良い
債務整理中でもろうきんで住宅ローンが組めた人の属性をチェックしてみると、年収や勤務先などの項目の属性が非常に高いことが分かります。
また、り〇な銀行の審査に通った人は大手企業に10年間勤めていて、フラット35で住宅ローンの審査に通った人も上場企業に勤めていますよね。
住宅ローンの審査では、基本的に本人の属性と借入履歴が審査基準としてチェックされます。
そして、属性がとても良いと評価された場合は、まだ信用情報機関の金融事故情報が消えていないブラックリストの状態でも、業者によっては審査に通るケースが出て来るかもしれません。
属性が高いというのは、例えば、以下のようなケースを言います。
- 高くて安定した収入がある
- 強力な保証人がついている
- 公務員の仕事をしている
- 大手の上場企業の正社員である
- 勤続年数が長い
融資比率と返済比率が低い
住宅ローンを組もうとする際、もう一つ重要なポイントになるのが、融資比率と返済比率です。
融資比率とは、購入したい住宅価格に対する借入れ金額の割合です。
例えば、記事内で紹介している、ろうきんで住宅ローンが通った方は、2,500万円で頭金を600万円準備したので、融資の金額は1,900万円となり、融資比率は76%となります。
また、返済比率は、税込みの年収に対して、1年間で住宅ローンを返済する金額の割合です。
例えば、年収が500万円で、月額10万円ずつ返済をすれば、年間の返済金額は120万円となり、返済比率は24%となります。
一般的に融資比率が80%未満、返済比率が25%未満であれば、住宅ローンを組める確率が高くなると言われています。
ここで紹介した方々も、融資比率や返済比率で低い数値を出しているので、住宅ローンの審査に通った可能性が高いと言えます。
実際、債務整理中の方は、残債の返済に追われてしまう可能性が高いので、特に融資比率の点で苦戦する方が多いでしょう。
しかし、もし、返済をしながらも、頭金をしっかり作れるようであればチャレンジしてもいいのかもしれません。
フラット35はやはり狙い目
今回、ご紹介した方の中にも、フラット35で審査に通ったという方がいらっしゃいました。
一般的にフラット35の住宅ローンは審査に通りやすいという方が多いです。
ただ、その一方で、フラット35は、平成23年(2011年)に会計検査院から、審査をもっと厳しくするよう指導を受け、それから審査に厳しくなったと言われています。
しかし、今回、ご紹介した方が、フラット35で、住宅ローンの審査に通ったのは、平成25年(2013年)なので、その後のことです。
フラット35は、
- 雇用形態や勤続年数が問われない
- 人的審査(債務整理を行った情報の有無や年収)よりも、物的審査(担保の対象となる物件の情報)の方をより重視している
などの特徴があります。
ですから、今でも、債務整理中の人はチャレンジをしてみる価値があるかもしれません。
住宅ローンを組んだ後のことも考える
ここでは、債務整理中でも住宅ローンの審査に通った人のケースを紹介してきました。
しかし、実際にもっと大切なポイントは、住宅ローンを組めた後、きちんローンの返済ができるかということです。
なぜなら、返済能力がないのに、審査に通って住宅ローンが組めたとしても、後で逆に苦しむことになるからです。
ですから、基本的には、信用情報機関から事故情報が消えるまで待ち、それまでは完済をするだけでなく頭金をしっかり作るという方向性で計画を立てられることをオススメいたします。
また、これから債務整理を行うという方は、まずは、今の借金をどれくらい減らせて、いつまでに完済できるのか計算してみて下さい。
そして、将来的に住宅ローンを組みたいという意向も弁護士や司法書士など、法律の専門家に伝えながら、相談していくと良いでしょう。

早く住宅ローンを組みたいという気持ちは分からない訳でもありませんが、”急いては事を仕損じる”という言葉もありますので、焦り過ぎることなく、じっくりと取り組んで早く借金問題を解決されることをオススメいたします。