※この記事にはプロモーションが含まれています。
債務整理の直前に借り入れをするとどうなってしまうのでしょうか?
債務整理の前は、お金が本当にないので、生活に困っていたり、債務整理に掛かる弁護士費用を捻出しようとしたりして、借り入れをしようか考えてしまう人もいます。
しかし、債務整理の直前に借金をすると、かなりマズイことが起こってしまいます。
目次
任意整理の直前の借り入れ
任意整理の直前に借入れをする場合、借入れ先を任意整理の対象に含めるかどうかによって対応が分かれます。
任意整理の対象にしない業者からの借入
任意整理は、整理の対象とする債権者を選べるというメリットがあります。
ですから、借入をした業者を任意整理の対象に含めず、通常の返済を続けていくのであれば、直前に借入を行っても直接的な問題は起こりづらいです。
ただ、せっかく任意整理で借金の負担が軽くなるのに、利息の付いた借入れを行うと、任意整理後の返済負担は確実に増えることになります。
そういった観点から見れば、任意整理の対象に含めない業者であっても、お勧めはできません。
任意整理の対象にする業者からの借入
その一方で、直前の借入れを行った業者を任意整理の対象にしようとする場合は、和解交渉が難航する可能性が高くなります。
一番良くないのは、直前の借入れが新規の借入れであった場合です。
その場合は、一度も返済をしていない状態なので、業者は任意整理に応じてくれません。
取引期間が長いと大丈夫?
一方、取引期間が数年以上あるようなケースでは、債権者はその債務者から既に利息という形で、かなりの利益を得ています。
ですから、借入れた金額がそれほど大きくなければ、和解交渉に応じてくれる可能性はあります。
ただ、それでも任意整理の直前に借り入れをした金額が大きすぎると、債権者に対する印象は確実に悪くなります。
ですから、任意整理の直前の借入はできるだけ避けるのに越したことはありません。
>>任意整理は借入期間が短いとムリ?(200万円の借金の例)
任意整理前にクレジットカードを使うのは?
お金が困っている人の中には、任意整理前にクレジットカードを使うのはどうかと考える方もいらっしゃいます。
ただ、クレジットカードも借入の一種なので、同様の考え方が当てはまります。
個人再生の直前の借り入れ
個人再生の場合も、直前の借入れは以下の理由からしない方が良いです。
再生計画案が不認可になる確率が高くなる
個人再生では、小規模個人再生で書面決議の手続きをする場合、債権者の半数以上が反対するか、反対した債権者の債権額が全体の半分以上を占めると、再生計画案は不認可となってしまいます。
個人再生の直前に借入を行うと、その金額や債権者の事情によっても状況は異なりますが、書面決議で反対する可能性は高くなります。
その結果、債権者の反対多数となってしまうと、再生計画案が不認可になってしまうリスクが発生するのです。
ただ、クレジットカードでショッピングをしてしまうなど、10万~20万円程度の少額の借り入れであれば、それを理由に再生計画案が却下されることはほとんどないので、その点では安心して大丈夫です。
清算価値に上乗せされる場合も
しかし、個人再生の直前に借り入れを行った金額が少なかったとしても、その分は、財産として扱われ、清算価値に上乗せをしないといけない場合が出て来ます。
個人再生では、
- 清算価値の金額
- 最低弁済基準額(債務の約5分の1となるケースが多いです)
- 給与所得者等再生をする場合は、可処分所得の2年分
の中で、一番高い金額を最終的に支払っていくように決められます。
ですから、個人再生の直前の借り入れ分が清算価値に上乗せされて、かつその金額が最低弁済基準額などより多いと、返済金額が増えてしまう場合があるのです。
個人再生の申立てが棄却されるケースも
特に、気を付けないといけないのは、弁護士に個人再生の手続きを正式依頼して受任通知が送られた後に借り入れを行なうことです。
その場合は、借り入れを行った分が、非減免責権(減額できない債権)となってしまったり、場合によっては、個人再生の申立て自体が棄却されてしまったりする時があります。
民事再生法第25条4項では、
次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
4. 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
となっていますが、個人再生の直前の借入れを行うと、悪質だと判断された場合は、不当な目的で個人再生の申立てを行ったと判断されてしまう可能性があります。
ですから、弁護士などに個人再生の委任をした後は、絶対借り入れをしないで下さい。
自己破産の直前の借り入れ
自己破産を行なう場合でも、直前に借り入れを行なってしまうと、破産の申し立てをした際に、免責不許可事由に該当してしまう可能性が高くなります。
具体的には、破産法の第252条第1項の以下の条文に引っ掛かるようになります。
破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に,破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら,当該事実がないと信じさせるため,詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと
つまり、これから破産手続きをすることが分かっていながらお金を借りることは悪質だと判断される訳です。
この場合、手続きが簡単な同時廃止事件ではなく、管財事件で扱われてしまうことになります。
そして、破産管財人へ支払う予納金(少額管財が可能であれば20万円以上、なければ50万円以上)を余分に支払う必要が出て来てしまうので、十分、注意して下さい。
まとめ
債務整理の直前に借入を行った場合、まとめると以下のようなリスクが発生します。
- 任意整理:債権者が和解交渉に応じてくれない可能性が出てくる
- 個人再生:再生計画案が不認可になったり、清算価値が増えたり、借入分が非免責債権として扱われたりする
- 自己破産:免責不許可事由に該当し、管財事件として扱われ、余分な費用が掛かる
特に、弁護士や司法書士に債務整理の手続きを依頼して、受任通知が送られた後に、借入を行うと、様々な弊害が生まれてしまうので、借入は避けるようにしましょう。
また、一番大切なのは、債務整理の直前に借入が必要となってしまうような状況を作らないということです。
そのためにも、あなたに負担の掛からない債務整理の手続きを選択する必要があります。
ですから、まずは債務整理に詳しい法律の専門家に相談をしながら、無理のない計画を立ててみて下さい。
債務整理の直前の借り入れは、いずれの場合でも、手続きが面倒になる可能性が高いので、お金が大変な時は、早めに弁護士か司法書士に連絡をして相談をして下さいね。