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自己破産をするとすべての借金が免責(チャラ)にされるというメリットがあります。
しかし、奨学金の返済が残っている状態で、自己破産をすると、連帯保証人(保証人)に対して一括請求される場合があります。
ここでは、連帯保証人(保証人)は分割払いが可能なのかという点や、連帯保証人(保証人)に対してできるだけ迷惑を掛けない方法について解説をしていきます。
目次
自己破産すると保証人に返済義務が課せられる
自己破産の手続きを行なう際は、債権者平等の原則から、すべての債務が整理の対象となります。
ですから、奨学金の残債があると、当然、それも整理の対象となります。
免責を受けることができれば、すべての借金がチャラになりますが、もし、奨学金で保証人を立てていると、すべての返済義務が連帯保証人(保証人)に課せられることになります。
ですから、奨学金の返済が残っている人は、まず、連帯保証人や保証人が誰なのか確認をして、その人達に相談をする必要があります。
連帯保証人は分割返済が可能?
子供が自己破産をした場合、奨学金を管理しているJASSO(日本学生支援機構)は連帯保証人に対して、一括請求を行なうことになります。
債務者であるあなたが返済不能になった段階で、期限の利益が喪失されて、分割払いができなくなってしまうからです。
ただ、法的には、一括請求されることになっていますが、交渉によっては分割返済も可能です。
日本学生機構は、他の債権者と比べて、連帯保証人の分割払いに対して、比較的応じてくれる傾向があると言われています。
ですから、自己破産をする際は、日本学生支援機構に対して、本当に連帯保証人が分割払いできるか確認をしたり、弁護士に相談したりすることをお勧めいたします。
連帯保証人と保証人の返済義務の違い
奨学金の手続きを行なう際は、連帯保証人と保証人の両方を立てる必要があります。
連帯保証人は基本的には親(親が難しい時は兄弟姉妹や叔父、叔母など4親等以内の親族)がなり、保証人は父母を除き、かつ別生計である4親等以内の親族がなります。
保証人は
- 催促の抗告権:主たる債務者に対して請求を行うよう要求できる権利
- 検索の抗告権:主たる債務者が返済を拒否した場合、強制執行を要求できる権利
- 分別の利益権:保証額を保証人の人数で割った金額だけを返済すれば良いという権利
を持つことができますが、連帯保証人は上記の権利を一切持ちません。
ですから、基本的には子供が自己破産をした場合、連帯保証人となっている親などが、まずは全ての責任を負うことになります。
連帯保証人は、債権者と話し合い、問題がなければ、分割返済をしていきます。
ただ、もし、連帯保証人が返済できない場合は、次は、保証人に対して請求が行くことになります。
自己破産後に保証人への支払いは可能?
自己破産をすることによって、連帯保証人(保証人)に残債が請求された場合、自己破産後に返済義務を負ってしまった親や兄弟に対して支払いを行うことができないかと考える方もいらっしゃいます。
実際、自己破産を行った後は、連帯保証人や保証人に元々の債務者が支払いを行う義務は発生しません。
逆に、一部の債権者に対して分割払いを行うことは、法律上は好ましいことではありません。
ただ、自己破産後、契約上は連帯保証人(保証人)が返済義務を負う立場になっている上で、あなたがその人たちに対して任意で支払うことに関しては問題ありません。
自己破産後、保証人が奨学金を分割返済することを可能な限り、手伝えば、迷惑の度合いも多少は軽減されますよね。
機関保証であれば親・兄弟には影響なし
その一方で、奨学金をもらっている人の中には、連帯保証人や保証人を立てる人的保証ではなく、保証機関を通じて行なう機関保証を行っている人もいます。
機関保証は、奨学金をもらっている間は、保証料が差し引かれて、それなりに負担があるシステムです。
ただ、万が一、自己破産をした場合は、保証機関が責任を持ってくれるので、親や兄弟に迷惑が掛からないという大きなメリットがあります。
ですから、もし、機関保証を利用している人であれば、親や親族への影響を心配することなく、弁護士や司法書士に相談をすれば良いでしょう。
人的保証から機関保証への変更は可能?
そのような話を聞くと、奨学金の保証人を人的保証から機関保証に変更することはできないかと考える方もいます。
人的保証から機関保証への変更に関しては、平成16年度以降の奨学金採用者の場合、連帯保証人や保証人が死亡またはやむを得ない事情で、保証人なることができず、かつ、
- 延滞をしていない
- 振替口座(リレー口座)による返還を行っている
- 本人が破産、債務整理の状態にない
という条件を満たしている場合に行なうことができると、日本学生支援機構のHPに記載されています。
ただ、債務整理を検討している段階で、人的保証から機関保証に切り替えると、後から問題が起こるかもしれないので、事前に弁護士に相談することをお勧めいたします。
ちなみに連帯保証人や保証人が死亡した場合などは、
- 連帯保証人:父母。兄弟姉妹または叔父・叔母(配偶者は不可)
- 保証人:父母を除く4親等以内の親族で、本人または連帯保証人と別生計
という条件などを満たしている親族に変更をすることも可能です。
自己破産で保証人に迷惑を掛けなくない場合は?
もし、機関保証でない場合は、奨学金を自己破産すると、連帯保証人や保証人に迷惑を掛けてしまうことを避けるのは難しいです。
実際、連帯保証人や保証人も、返済が困難な場合、連鎖破産をしてしまうこともあり、奨学金制度は社会問題化しているとも言われています。
では、そのような事態を避けるにはどうすれば良いのでしょうか?
具体的には2つの方法があります。
日本学生支援機構に相談する
奨学金の支払いが難しい場合は、債権者である日本学生支援機関に相談するのも一つの方法です。
そうすれば、以下のような方法で、解決の道が見えて来る場合もあります。
- 返還期限猶予:最長で10年間、返済期間を猶予してもらう
- 減額返還:月々の返済額を減額してもらう
- 所得連動返還型無利子奨学金制度の利用:年収が300万円を超えるまで返済を猶予してもらう
- 返還免除:障害などで働けなくなった場合など特殊なケースに返済が免除される
日本学生支援機構の立場から考えても、あなたが簡単に支払いを放棄して、自己破産をしてしまうと大変なので、相談には、いろいろと乗ってくれるはずです。
奨学金の返済が難しい場合の対応については、日本学生支援機構のHPでも詳しく説明されているので、ご参考にして下さい。
任意整理で解決できないか弁護士や司法書士に相談する
奨学金の返済額が苦しくて自己破産を検討している人は、奨学金以外にも、様々な借金を抱えているケースも多いです。
奨学金は金利が、1%未満であるケースがほとんどですが、銀行や消費者金融だと金利が、10%以上、下手をしたら18%とムチャクチャ大きいので、そちらの借金の方がよっぽど大変です。
ですから、そういった方は、奨学金以外の借金の返済額を任意整理で減らすことによって解決できるかもしれません。
任意整理であれば、整理の対象とする借金を選べるというメリットがあります。
奨学金の分割返済は、そのまま続けながら、それ以外の借金の利息をカットして、元本のみを分割返済することも可能です。
ですから、自己破産を覚悟する前に、まずは、今の借金が自己破産以外の方法で、どれくらい減らせるのか、確認されることをお勧めいたします。
まとめ
奨学金の支払いが残っている人が自己破産をした場合、もし、人的保証を利用していれば、連帯保証に対して請求が行きます。
最初は一括請求されますが、日本学生支援機構は、連帯保証人の分割払いにも比較的応じてもらいやすい言われています。
ただ、それでも連帯保証人に迷惑が掛かってしまうことに変わりはありません。
ですから、
- 自己破産が終わった後、連帯保証人の分割払いに協力する
- 自己破産をする前に日本学生支援機構に相談する
- 任意整理で借金問題を解決できないか弁護士や司法書士に相談する
などの方法で、連帯保証人への迷惑を最小限にする、或いは、迷惑をかけない道がないか検討してみると良いでしょう。
親や兄弟が奨学金の連帯保証人や保証人になっている場合、自己破産をすると様々なトラブルの原因となってしまうので、自己破産を検討している方は、必ず弁護士や司法書士によく相談をしながら進めるようにして下さい。