※この記事にはプロモーションが含まれています。
生活保護費で借金返済するのは禁止されていると一般的に言われていますが、実際、法的根拠はあるのでしょうか?
当サイトでは、生活保護費で借金返済をすることは勧めていません。
また、借金がある段階で生活保護を受けようとする場合は、まず自己破産の手続きを行なうことをお勧めしています。
ここでは、その理由についてお伝えしていきます。
目次
法的根拠はない!?
実は、生活保護費で借金返済をしてはいけないということに関して法的根拠はありません。
生活保護法の条文
生活保護費の使用目的に関して、生活保護法第60条では以下のように記載されています。
被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。
この中に”生活保護費で借金返済をしてはいけない”という文言は入っていないので、法的根拠はないということになります。
厚生労働省の見解
ただし、生活保護法とは別に、厚生労働省が生活保護制度について解説をしているQ&Aには以下のような記述あります。
Q. 住宅ローンがありますが、生活保護を受給することはできますか?
A. 住宅ローンがあるために保護を受給できないことはありません。ただし、保護費から住宅ローンを返済することは、最低限度の生活を保障する生活保護制度の趣旨から、原則として認められません。
ローン返済=借金返済ですから、生活保護費で借金返済することは禁止されているということになります。
「いや、住宅ローンはカードローンからの借金とは違うかもしれないから」という人もいるかもしれません。
ただ、もう一つの観点である、生活保護は最低限度の生活を保護するという基本理念の趣旨からも生活保護費を借金返済に充てることは認められないということになります。
実際、生活保護費を借金返済に充てたことがバレても、不正受給とは違うので罰則規定には該当しません。
ただ、あまりに悪質であると生活保護の資格が停止される場合もあるので、気を付けるようにして下しさい。
何よりも、生活保護は、あくまでも国民の税金によって賄われていることを認識した上で、生活保護の趣旨をしっかり守るよう努めていくことが大切です。
借金があると生活保護は受けられない?
ただ、ここで、借金があると生活保護は受けられないのかという問題が出て来ます。
実際、生活保護法の第二条では、
すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。
と原則的に生活保護は誰でも無差別平等に受けられると定められています。
ですから、借金がある人でも生活保護を受けることは可能です。
生活保護を受けたら借金は放置!?
ただ、生活保護の審査を受ける際は、通帳を開示するなどの調査を受ける必要がありますし、そこで借金についても調べられます。
しかし、生活保護費で借金返済はできないのであれば、借金は放置するしかないのでしょうか?
実際、債権者は債務者が生活保護を受けていると取り立てをしてもお金を取ることはできないので、放置していても問題ないという人もいます。
ただ、将来的に再び収入を得られるようになって生活保護の状態から脱出することになった時、取り立てが再開し、遅延損害金も合わせて請求されるリスクがあります。
ですから、福祉事務所のケースワーカーは、借金を放置したり、生活保護費で借金返済をしたりするのではなく、自己破産の手続きを勧めるのが一般的です。
債務整理には自己破産以外にも任意整理や個人再生の手続きがありますが、その場合は借金の返済義務が残ってしまうからです。
自己破産の費用はどうすれば良い?
ただし、自己破産の手続きを行なう場合でも、費用は掛かるので、収入がない場合は、法テラスに相談をすることによって、弁護士費用を立て替えてもらえる制度を利用することができます。
また、生活保護を受ける人は、立て替えてもらったお金の支払いを免除してもらえます。
ただ、借金の金額がそれほど多くない場合は、自己破産をすると、減らせる借金より費用が上回ってしまうこともあります。
そんな時は、ケースワーカーの了承を得た上で、生活保護費を借金返済に充てていくことが例外的に認められるケースもあるので、まずは相談してみて下さい。
生活保護費以外の選択肢も検討してみる
生活できるだけの収入がなければ、生活保護もやむを得ないかもしれませんが、生活保護を受けると生活面で制限を受けることがどうしても多くなってしまいます。
しかし、もし、今の借金や月々の返済額を減らすことができれば、生活保護を受けずに生活を再建できる道が見つかるかもしれません。
ですから、一度、借金をどれくらい減らすことができないか無料診断を受けてみてはいかがでしょうか?
生活保護中に借金をすると損する
ちなみに、生活保護を受けている時に、借金をすると、借金を通じて得たお金は、収入として報告する必要があり、その分は生活保護費から差し引かれるようになります。
ですから、借金をすればするほど、生活保護費が減額されますし、借金には当然利息も付くので、損するだけの結果となります。
不正受給と見なされた場合の罰則
生活保護中の借金が収入となってしまうのを避けるため、借金したことを申告しなければ良いのではと考える人もいます。
実際、福祉事務所のケースワーカーは生活保護の受給者に対して数が足らないので、借金をしてもバレる可能性は低いのかもしれません。
ただ、万が一、生活保護中に借金をしたことがバレれば、所得隠しによる不正受給に該当する可能性が発生し、以下のいずれかの処置が取られます。
- 過失とみなされた場合(生活保護法63条):不正受給とはみなされないが厳重注意の上、未申告分を返納
- 故意とみなされた場合(生活保護法78条):不正受給とみなされ、不正受給分の最大140%を返還、生活保護廃止の可能性も
- 悪質とみなされた場合(生活保護法85条):詐欺罪で告訴、不正受給分の最大140%を返還、生活保護も廃止
ですから、バレないのなら借金をしても良いという考えは絶対にやめて下さい。
まとめ
生活保護費で借金返済をすることに対して、厳密に言えば法的根拠はありません。
ただ、借金返済をすることは、生活保護制度の趣旨に明らかに反しますし、悪質とみなされた場合は、生活保護の受給資格を失ってしまいます。
ですから、生活保護を受ける場合は、事前に自己破産を行うことが通常の流れとなります。
また、自己破産の費用が払えない場合は法テラスに相談し、借金の金額がそれほど多くない場合は、ケースワーカーに相談しながら手続きを進めていくと良いでしょう。
ただ、生活保護はあくまでも最終手段なので、まずは、弁護士や司法書士に借金の相談しながら、他に良い方法がないか探してみるのも一つの方法だと思います。