
個人再生では本人名義の銀行口座の提出を求められますが、なかには口座隠し(通帳隠し)を行なおうとする方がいらっしゃいます。
しかし、口座隠しを行なうと、個人再生が失敗する確率が高まり、最悪の結果を招いてしまうリスクがあります。
ここでは、個人再生における口座の提出義務を怠り、口座隠しを行なった場合、どうなるかについて解説をしていきます。
目次
個人再生での通帳提出はどこまで行なう?
個人再生で銀行口座の通帳の提出を求められた場合、基本的には
- 通帳の表紙のコピー
- 過去の取引内容が記帳された通帳のページのコピー
を提出するようになります。
また、過去の取引履歴は、基本的には過去1年分の取引が記帳されている部分のコピーであれば大丈夫です。
しかし、裁判所によっては過去2年分のコピーの提出を求められる場合もありますので、詳しくは弁護士や司法書士に相談するようにして下さい。
また、現在、持っている通帳はすべてコピーを提出するのが原則です。
ネット銀行の場合は?
最近は、ネット銀行という通帳を持たない形で、口座のお金を管理する人も増えています。
ネット銀行の場合、過去5年間ぐらい遡って取引履歴を出せるところもありますが、過去1年間分しか出せないネット銀行もありあります。
ですから、その場合はネット銀行のカスタマーセンターに連絡をして、さらに過去の履歴を出してもらうことになります。
通帳を紛失してしまった場合は?
もし、通帳を紛失してしまった場合は、銀行にお願いをして必要な期間までさかのぼった出入金明細を発行してもらう必要があります。
また、出入金明細はすぐ発行されることもありますが、銀行によっては2週間~2ヶ月の期間が掛かってしまう場合もあるのでご注意下さい。
家族の通帳(妻の通帳など)は提出する必要がある?
個人再生を手続きをする中で妻の通帳を提出しなければならないのではないかと心配する方もいらっしゃいます。
しかし、提出する通帳は、自分名義のものだけなので、家族の通帳は基本的に提出しなくても大丈夫です。
ただ、個人再生を行なう場合は、家計全体の状況をまとめた書類も提出したりしながら、弁護士や司法書士が預金も含めた債権の調査を行ないます。
その中で、本人の口座から妻の口座へ資金が流出したと疑われた場合などは、家族の通帳の提出を求められることもあります。
銀行口座の金額が多いと没収される?
個人再生の場合、自己破産のように銀行口座にお金がたくさん入っていたからといって、没収の対象となるワケではありません。
ただ、清算価値(所有している財産)の額が大きいと、弁済する金額を清算価値の額に合わさなければならなくなってしまいます。
実際に、あなたが個人再生でどれくらいの借金を減らせるかは、以下の方法で目安を知ることが出来ます。
借金の減額診断を受けてみると、個人再生を行った場合、弁済額がどれくらいになりそうか分かれば、今、口座にあるお金を含めた財産全体の額を上回るか大体の予想がつくでしょう。
個人再生で口座隠しを行なうとどうなる?
もし、口座にそれなりのお金が入っていて、弁済額が上がってしまうかもしれないと不安に思った人の中には、口座隠しをしようとされる方もいらっしゃいます。
しかし、口座隠しがバレてしまうと、嘘をついて資産隠しを行ったとみなされ、
- 再生計画案が不認可になる
- 認可された後に発覚すると再生計画案が取り消される
という処置を取られてしまうリスクがあります。
それは、個人再生の失敗を意味することとなり、せっかく減額できた借金はすべて元に戻ってしまいます。
自己破産で口座(通帳)や財産を隠した場合は、免責不許可事由に該当したり、最悪は詐欺破産罪に課せられたりする場合もありますので、ご注意下さい。
口座隠しや財産隠しは絶対やめよう
実際、裁判所は銀行に問い合わせて預金調査まで行なうことはしません。
しかし、弁護士や司法書士は、個人再生を受任した際に、債権調査をしっかり行ないますし、裁判所も細かく精査をしていくようになります。
そこで、お金の流れに不自然な点があると口座を隠したことがバレてしまう可能性は非常に高いのです。
口座隠しや財産隠しを行なうと、万が一うまくいけば個人再生での弁済額が多少下がるようになるかもしれません。
しかし、それがバレて個人再生が失敗した場合のリスクはあまりに大きいと言えます。

個人再生を行なう場合は、虚偽の申告は絶対にしないで、口座も含めた資産の状況は、担当の弁護士へ正直に報告するようにして下さい。