※この記事にはプロモーションが含まれています。

自己破産 個人事業主 体験談

個人事業主はビジネスがうまく行けば良いですが、一度、歯車が狂いだすと、どんどん悪循環にハマって抜け出せなくなることがあります。その結果、借金が増えて自己破産をせざるを得ない状況に追い込まるケースは枚挙に暇がありません。

ただ、個人事業主が債務超過になって自己破産の手続きを行なう場合は、個人のケースと違って気を付けない点がいくつかあります。そこで、この記事では、個人事業主という立場で自己破産を行なった方の体験談をご紹介すると共に、個人事業主が自己破産をする際、具体的にどんなリスクがあるのか、具体的に解説をしていきます。

この記事を書いた人

 

借金問題専門家 タケシ

以前、325万円の借金を任意整理を行なって完済した体験を持つ借金問題の専門ライターです。
借金問題や債務整理に関するコンテンツは、既に1,500記事以上、執筆しています。

自己破産を個人事業主が行った体験談

当サイトでは個人事業主で自己破産の手続きをされた方からの体験談を募集したのですが、そこで、一人の男性から貴重な体験談を頂きました。その方は、かつて、小さな飲食店を営む個人事業主でしたが、ビジネスの運営にあたり数々の困難に直面し、最終的に自己破産という厳しい道を歩むことになったとのこと。

ただ、自己破産の手続きを行なう際は、個人事業主ならではの苦労もあったそうです。実際、どんな点が大変だったのかという点も含めて、その方の体験談をご紹介していきます。

飲食店の支出は莫大

私は数年前、脱サラをして小さな飲食店を持つようになりました。最初の頃は、自分の夢を遂に実現することができて嬉しい気分に浸っていたのですが、それは長続きしませんでした。

飲食店を行なうと、実はものすごい出費に追われます。内訳としては賃料や仕入れ代金が大半でしたが、それ以外でも従業員への支払いや税金等々も含まれております。これら全て合わせると非常に重荷となりました。賃料や仕入れ代金等は毎月必要不可欠な出費であり、一方で売上からそんな大きな出費分を捻出することが難しく苦労しました。

また従業員への支払いも無視するわけには行きません。彼らも生計を立てるため働いてくれているわけで、その給与を支払うためには一定の売上が必要です。しかし、私の店舗ではそんな大金を稼ぎ出すことができず、負債は増え続けました。

さらに税金もかかります。国や地方自治体から求められる税金は無視するわけに行きませんし、納付しないと罰則もあります。それでも売上が伸び悩む中では納付するだけでも苦労しました。

競争力不足が決定的な要因に


このような苦境に立ち至った理由として一番決定的だったのは競争力不足です。周辺エリアでは同じような内容・価格帯の飲食店が乱立し始めておりましたし、どこか他店舗と一線を画す特色あるメニューやサービス提供方法等も見出せませんでした。

市場調査や競合分析、顧客ニーズの把握といった事前準備も不足していました。これら業界内外から得られる情報を活用することで自身のビジネス戦略を考え直したり改善する手段ですが、私はそれを怠ってしまった結果、他店舗との差別化を図ることができず、顧客から選ばれない結果に繋がってしまったのです。

その他にもサービス向上や新メニュー開発等、ビジネスを成長させるための投資も必要です。しかし負債が増えていく中ではそんな余裕はありませんでした。結果的に店舗の競争力は低下し続け、売上アップどころか客足すら減少してしまったのです。

1000万円の負債を抱え自己破産へ

そういった悪循環が繰り返されていく中で、最終的な負債額や約1000万円程度だったと記憶しています。負債が増える一方で利益を上げられない状況から脱出するため、自己破産の選択肢を真剣に考えるようになりました。実際、この時点では既に借金返済の見通しも立っておらず、これ以上、ビジネスを続けても赤字が増えるだけだと判断したのです。

私が行った自己破産の手続きは管財事件というものでした。これは個人事業主やフリーランス等が自己破産する際に用いられる方法です。まず弁護士と相談し、その後、裁判所へ提出すべき書類を作成しました。そして裁判所から管財人が指定されます。管財人は私の資産全て(店舗・家具・機材等)を処分して債権者に配当する手続きを行ないました。

個人事業主だからこそ味わった自己破産での苦悩


このプロセスでは、個人事業主という立場だからこそ大変だったことも多々あります。自己破産の手続きを行なうと基本的に生活必需品以外全ての資産が没収されますが、それでも飲食店営業者として何年も使ってきた道具や設備を失う辛さは計り知れませんでした。特に自分で選び出し、愛着を持って使用していた厨房機器や家具類の処分は心情的に非常に苦痛でした。

また、税金面でも苦労しました。消費税や法人税など納付しきれていなかった税金が破産後も追徴され、これらを支払うためにはさらなる資金調達が必要となったのです。このように個人事業主として自己破産する際の困難さや複雑さを実感しました。

最終的に私の自己破産は成立し、全ての負債から解放されました。しかし、その一方で信用情報機関への登録や起業家として再スタートすることへの制約等々多くのデメリットもあります。特に信用情報機関への登録は個人の信用度を大きく下げ、新たなビジネスや貸付け等で不利となる可能性があります。

それでも今回の経験を通じて学んだことは非常に大きいです。計画性、競争力、収益管理等々ビジネス運営上重要な視点・知識・技術を身につけるキッカケとなったからです。そして何より、借金という重荷から解放された安堵感は言葉では表現しきれません。

個人事業主が自己破産を行う上でのリスク

自己破産は、すべての債務をチャラにできるというメリットがあります。ただ、その一方で個人事業主が自己破産を行う場合、様々なリスクがあります。その結果として起こり得る最大のデメリットは、事業を継続することができなくなるという点です。

なぜ、そういう結果になってしまうのか、6つの観点からお伝えしていきます。

  • 事業用の資産を手放さないといけない
  • 連帯保証人に迷惑が掛かってしまう
  • 取引先の信頼を失う
  • 自己破産では費用が掛かる場合も
  • リース契約の債務整理が面倒
  • 税金の支払いが負担になりやすい

それでは一つずつ見ていきましょう。

事業用の資産を手放さないといけない

個人事業主は、事業を行うため、様々な資産を所有しています。自動車(営業車など)、事業用の機械、印刷機、不動産、事務所などいろいろありますよね。

自己破産を行う際は、債務をすべてチャラにできる代わりに、換価して20万円を超える財産はすべて手放さなければなりません。資産を失うと、当然、事業の継続は難しくなってしまいます。

連帯保証人に迷惑が掛かってしまう

個人事業主は、借りるお金が大きくなりやすいので、その際に家族や知人に連帯保証人になってもらっているケースが多いです。自己破産で債務が免責になった場合、その支払い義務は連帯保証人に課されます

例えば、家族で事業を行っていて、かつ家族が連帯保証人になっている場合は共倒れということになってしまい、事業の継続どころではなくなってしまいます。

取引先の信頼を失う

個人事業主が債務整理を行なう場合は、取引先に対して売掛金などの未払い金があることも多いです。自己破産では、そういった未払い金も債権者平等の観点から整理の対象となります。

取引先は売掛金が未払い金となり、そのまま負債となってしまう訳ですから、個人事業主に対する信頼は完全に失われ、事業の継続は難しくなってしまいます。

自己破産では費用が掛かる場合も

個人事業主が自己破産を行なう上で、もう一つ注意すべき点は、費用が掛かるという点です。もし、財産がほとんどなければ同時廃止という簡単な手続きで済ませることができます。今回の方のように個人事業主は事業用の財産や資産があるケースも多いため、原則的には管財事件となってしましまいます。

管財事件になると、予納金として50万円以上(東京では弁護士事務所を通せば、少額管財という形で20万円以上)と追加費用が掛かってしまうため、気を付けないといけません。

リース契約の債務整理が面倒

個人事業主は、リース契約(ファイナンスリース)で機械や設備を所有している場合があります。リース契約自体は債務整理の対象とすることができません。ですから、リース契約の支払いを減らしたい場合は、まず中途解約を行う必要があります。

ただ、リース契約を中途解約することは基本的にできません。そこで違約金を支払い、再度、対象資産の買い手が見つかった場合に再計算をするなど、かなり面倒な手続きが必要となってしまいます。

税金の支払いが負担になりやすい

個人事業主は所得税、住民税、個人事業税、消費税などの税金を自分で管理して支払う必要があります。そして、事業規模が大きくなってくると、当然、納付する税金の金額も増えてきます。こういった税金は自己破産を行なった際も非免責債務として扱われるため、支払いの義務を免れることができません

そのため、自己破産の手続きが終わった後も、税金の支払を求められ、そこでやりくりに苦労する場合があるのでご注意ください。このように個人事業主が自己破産の手続きを行なうと、やっかいな手続きや余計な負担がいろいろと出てくるので、事業を継続するのは難しくなってしまうのです。

また、個人再生が自己破産をする場合は、手続きが面倒になってしまうケースが多いので、手続きを行なう際は、必ず自己破産に強い弁護士に相談されることをおすすめいたします。

>>自己破産に強いおすすめ弁護士事務所

自己破産以外であれば事業を継続できる!?

自己破産以外の債務整理には、個人再生と任意整理があります。どちらも、債務整理後に、支払いを続けていくという観点では共通しており、事業を継続できる可能性を残すことができます。ですから、事業を続けていきたいという方は自己破産以外の道を模索してみるのも良いかもしれません。

まず、任意整理であれば、整理する債務を選ぶことができます。そのため、連帯保証人がいて迷惑が掛かりそうな債務は外すこともできるので、ダメージを極力避けることが可能となります。ただ、任意整理では、それほど借金の元本を減らすことができません

ですから、弁護士や司法書士に相談をしながら、任意整理を行った際のシミュレーションを立てても、返済が難しいと判断した場合は、借金の元本をより多く減らせる個人再生を行うのが良いかもしれません。

個人再生では、資金特別条項(住宅ローン特則)によって、住宅ローンのみ借金の整理から外すことも可能です。ですから、債務整理をしても、住宅だけは残したいという方にも個人再生はオススメです。

実際にどういった債務整理の方法が良いのか、また具体的にどれくらい借金を減らせるかは以下のやり方で簡単に診断することができます。

>>借金をどれだけ減らせるか調べてみる【所要時間1~2分】

個人事業主という立場でもスッキリするアドバイスを受けられる可能性が高いので気軽に利用してみてください。

まとめ

個人事業主はうまく軌道に乗れば、普通にサラリーマンをしている時よりも大きく稼げますが、何らかの要因でつまずいてしまうと、借金が膨れ上がってしまうリスクがあります。どうしても返済が難しい場合は、自己破産という道を選択せざるをえなくなるかもしれません。

ただ、個人事業主が自己破産の手続きを行なう場合、資産を所有していたり、連帯保証人付きの債務があったり、リース契約を抱えていたりするケースがあるるので、手続きが面倒になってしまう可能性が高くなります。

ですから、自己破産の手続きをする際は、必ず自己破産の手続きに強い弁護士に相談されることをおすすめいたします。また、その際、任意整理や個人再生など自己破産以外の選択肢が可能かという点も含めて相談をしてみても良いでしょう。

takeshi1

個人事業主の自己破産は面倒かもしれませんが、だからこそ、自己破産に強い弁護士に依頼をしてスムーズに手続きを進めてくださいね。