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債務整理を行なう際、一部の債権者はどうしても整理の対象から外したいという方がいらっしゃいます。

ただ、やり方を間違えると、偏頗弁済と見なされるリスクがあります。

ここでは、どこまでの対応が可能で、どんな点について注意すべきなのかという点について解説をしていきます。

この記事を書いた人

 

借金問題専門家 タケシ

以前、325万円の借金を任意整理を行なって完済した体験を持つ借金問題の専門ライターです。
借金問題や債務整理に関するコンテンツは、既に1,500記事以上、執筆しています。

自己破産や個人再生の場合

まず、自己破産の場合、債権者の一部だけを整理の対象とすることはできません

また、個人再生を行なう場合でも、住宅ローンのみ住宅ローン特則を利用することによって、整理の対象から外すことができますが、それ以外の借金はすべて整理の対象となります。

個人再生での住宅ローン特則とは?

債務整理の手続きでこのようになるのは、債権者平等の原則があるからです。

債権者の平等の原則とは、一人の債務者に対して、複数の債権者がいる場合は、債権が発生した時期や金額に関わらず、平等に扱われなければならないというルールです。

このルールを守らずに一部だけ債務整理を行ない、それ以外の債権者に対して従来通りの返済を行なうと偏頗弁済と見なされます

その結果、自己破産では免責を受けられなくなったり、個人再生では偏頗弁済をした分だけ弁済額が加算されてしまったりするリスクが出て来ます。

任意整理では一部だけの整理が可能

一方、任意整理の手続きは例外で、一部だけの債権を整理の対象とすることが可能です。

具体的には以下のような借金やローンを任意整理の対象から外すことによって大きなトラブルを回避することができます。

  • 住宅ローン:家を失ってしまうリスクを回避できる
  • 自動車ローン:車が引き上げられてしまうことを回避できる
  • 保証人が付いている債務(奨学金など):保証人や連帯保証人に迷惑が掛かってしまうリスクを回避できる

実際にリスクのある借金を対象から外し、一部だけ任意整理を行えるかは、こちらの方法で調べることができます。

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一部だけの任意整理をすると起こり得る問題

ただ、一部だけ任意整理の手続きを行なうのは、特別な事情がある場合のみに限定することをオススメします。

実際、日弁連が定めている「債務整理事件処理の規律を定める規程」では、弁護士が、過払い金のある債権や、一部の債権だけ任意整理の受任することは原則として行なわないよう定めています

ですから、一部だけ任意整理の手続きを行なうのは、あくまでも例外的な対応ということになります。

なぜなら、債権者の一部だけを任意整理の対象とした場合、以下のような問題が生じる可能性があるからです。

債権者同士で関係がある場合

例えば、A社(銀行)とB社(消費者金融)の両方から借入をしていて、B社のみ任意整理の対象にしたとします。

ここでもし、A社の保証会社がB社になっていると、B社はA社の債務保証を履行して、A社の債務がB社へ移行します。

その結果、A社の口座が凍結されて、もしA社の銀行口座を持っていると口座が凍結されてしまうというトラブルが発生します。

任意整理後に返済ができなくなる場合がある

もし、任意整理の対象から外した債務の額が大きい場合、一部だけ任意整理をしただけでは、和解案で決まった返済額プラスそれ以外の借金の返済額の合計が大きくなり、返済が難しくなるリスクが高まります

そこで返済不能になると、再度、債務整理の手続きをしなければならなくなり、余計な手間と費用が掛かってしまいます

自己破産ができなくなる可能性も

任意整理後に返済不能となり、自己破産の手続きを行なうとしたします。

しかし、この段階で、任意整理の対象としなかった債権者にだけ返済を行っていたことが偏頗弁済だとみなされ、免責不許可事由に該当してしまうことがあります。

そのように判断されると、自己破産の手続きができなくなってしまう可能性もあるので気を付けなければなりません。

また一部の債権者だけに対して、過払い金の返還請求を行った後、他の借金を返すことができずに、自己破産の手続きを行なうと、過払い金で返還されたお金は資産と見なされます

そして、そのお金は、自己破産の配当金として債権者に分配しなければならなくなります。

また、もし、自己破産をする段階で返還された過払い金を使い切っていると、本来、債権者に配当されるはずであったお金を使ったということになり否認権や免責不許可事由の問題が発生してしまいます。

すべての債務を報告するのが原則

このようなトラブルを避けるためにも、弁護士や司法書士に依頼をする場合は、必ず、借金をしている全社の状況を正直に申告するようにして下さい。

その上で、一部だけ任意整理の手続きを行ったとしても、任意整理後の返済が問題なくできると専門家が判断した時だけ、任意整理を行なうようのが良いでしょう。

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債務整理に強い弁護士や司法書士に依頼をすれば、最小限のリスクで任意整理の手続きを行える可能性が高くなるので、必ずそういった専門家に依頼されることをオススメいたします。