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自己破産をする人に対して、「自己破産はしたもん勝ちだからずるい」という人がいます。特に自己破産をされた人は、そのように思ってしまう傾向が強いですよね。
そういう話を聞くと自己破産を検討する人の中にも「やっぱり自己破産という卑怯な方法はやめて自力で返済していくのが良いのでは…」と思う人がいるかもしれません。ただ、そのように言われてしまうほど、自己破産をするのは本当に悪いことなのでしょうか。
そこで、この記事では、自己破産はしたもの勝ちを言われてしまう理由をお伝えした後、実際はそうではない理由について徹底的に解説していきます。
目次
自己破産はしたもん勝ち?
「自己破産はしたもん勝ち」という意見をチラホラ聞くことには、それなりの理由があります。具体的には以下の2点が挙げられますよね。
- 借金は原則でチャラ
- 国が立場を保証してくれる
それぞれの理由について詳しく解説していきます。
借金は原則でチャラ
自己破産はしたもん勝ちと言われる最大の理由は、やはり「借金がチャラになる」ことだと言えます。借金が、100万あろうと数千万円あろうと関係なく、すべてリセットとなるのは、自己破産をする人にとっては、むちゃくちゃメリットが大きいと言えますよね。もちろん、税金や罰金など免責の対象外になる債務もありますが、個人や銀行、クレジットカード会社、そして消費者金融からの借金は原則ゼロにすることができます。
逆に、お金を貸した債権者にとっては貸したお金が一円も返ってこなくなるので大損です。文字通り、泣き寝入りをするしかありません。自己破産の手続きをされてしまったら最後、その人には一切、取り立てができなくなってしまうので、はっきり言ってたまったものではありませんよね。そういった立場の人から見れば、まさに自己破産はしたもん勝ちに見えてしまうことでしょう。
国が立場を保証してくれる
自己破産はしたもん勝ちと呼ばれるもう一つの理由は、国の法律が自己破産をした人を守ってくれるということです。自己破産を含め債務整理は国が認めた借金の減額方法です。
>>国が認めた借金の減額方法とは?詐欺なのか本当の救済制度なのか?
自己破産と形的には似た行為として、借金の踏み倒しというものがあります。どちらも借金を返さないという点では共通しているのですが、借金を踏み倒した場合は、その人の社会的な立場は一切保証されません。借金を返すまでは、しつこく取り立てをされますし、場合によっては裁判を起こされます。最悪の場合は、給与や財産が差し押さえられてしまう可能性も高くなりますよね、。そのため、人によっては、相当なストレスやプレッシャーを受け続けることになるのです。
しかし、自己破産は国が認めた救済制度などで、自己破産をした人は、借金が免責され、借金の取り立てをされることもありません。最低限の生活は保証されるので、いわゆる平穏で普通の生活をすることも可能です。ただ、そういう人を見ると、債権者はなおさら腹立たしい気持ちになってくるのかもしれませんね。
自己破産はしたもん勝ちではない理由
そのような話を聞くと、これから自己破産をしようと考えている人の中には、後ろめたさを感じてしまうかもしれません。しかし、自己破産は決してしたもん勝ちではありません。その理由について、ここでは以下のように6つの観点からお伝えしていきます。
- ブラックリスト状態が5年~10年続く
- 一定以上の財産は手放す必要がある
- 自己破産を認められない場合もある
- 自己破産は繰り返し行うのが難しい
- 家族からの信頼を失う人も多い
- 悲惨な状況を回避するには必要なもの
それでは一つずつ見ていきましょう。
ブラックリスト状態が5年~10年続く
自己破産をすると、借金が原則ですべて免責されますが、その一方で約5年~10年は信用情報機関に事故情報が登録されるため、いわゆるブラックリスト状態になります。そのため、その期間は新たな借り入れをすることができません。自己破産をした人は、お金がないので、すぐに車や家のローンを組もうとする人はいませんが、身近なところだと、クレジットカードが使えないという点がかなり痛いと言えますよね。
今は、クレジットカードが使えないと、ネットなどで気軽に買い物をすることもしづらくなるので、不便な思いをする人です。さらにクレジットカードがなければ、急な出費にも対応ができないので、そういった点からも最低限の生活をせざるを得ない方も多く、そこでストレスを感じてしまう方もいらっしゃいます。
一定以上の財産は手放す必要がある
自己破産をすると、最低限の生活は保証されますが、一定以上の財産は手放す必要があります。基本的に99万円以下の現金や20万円以下の預金や財産は自由財産として残すことが可能ですが、それを超える現金や財産は基本的に手放さなければなりません。家や車のローンを組んでいれば、当然、マイホームは失われ、車も引き上げられてしまいます。保険に関しても解約返戻金が20万円を超えるような場合は解約の対象になります。
決して身ぐるみ剝がされるわけではありませんが、それでも裕福な生活はしばらく許されなくなってしまうのです。
自己破産を認められない場合もある
自己破産はしたもん勝ちだと思っている人の中には「どうしてお金を返さなくても良いんだったら、お金を借りるだけ借りて、あとは自己破産をしてしまえば良いんじゃない?」と発想する人が必ず一定数います。しかし、それはとんでもない勘違いです。
なぜなら、自己破産を行なって免責を受けようとした際、免責不許可事由に該当してしまうと、免責を受けられなくなってしまう可能性が出てくるからです。代表的な例を挙げると、
- ギャンブルや浪費で借金を作ってしまった
- 財産隠しを行なった
- 本当は返済できないと分かっていたのに借金をした
などの点が挙げられます。自己破産を行なう際は、裁判所を通じて、借金の中身や借金を行なってきた経緯が徹底的に調査されて、本当にやむを得ない事情で借金が返せなくなってしまったのかが調査されます。ですから、借金をするだけして、あとは自己破産をして逃げるというのは原則として出来ないのです。
>>自己破産ができない場合~免責不許可事由に該当したらダメ?
自己破産は繰り返し行うのが難しい
自己破産ですべての借金がチャラになるのであれば、借金が膨らんだら自己破産をして、また膨らんだら自己破産をすれば良いと安易に考える人もいるかもしれません。しかし、これは先ほどの免責不許可事由の中にも含まれる内容ですが、過去7年以内に自己破産をして免責を受けている人は、再度、免責を受けることが難しくなります。
自己破産はそんなに気楽に何回でもできるほど甘いものではないのです。
家族からの信頼を失う人も多い
自己破産をすると、ブラックリスト状態になり、社会的な信頼を失う人も多いですが、その一方で、家族からの信頼を失って、そこで辛い思いをする人もたくさんいらっしゃいます。もちろん、すべての家族が自己破産をした人に対して、冷たく接するというわけではないでしょう。ただ、当面は「お金にだらしがない人だ」という目で見られてしまう可能性は高いと言えます。
社会的な信用は、信用情報機関に登録された事故情報が消えることによって、100%回復することも可能です。しかし、家族からの信頼を取り戻すには、場合によっては、もっと時間が掛かるかもしれません。それは、それで自己破産をした人にとって、かなり重くのしかかってくる場合もあるのです。
悲惨な状況を回避するには必要なもの
自己破産はしたもん勝ちではない最も大きな理由は、自己破産は悲惨な状況を回避するためには必要な措置であるからということです。借金が膨れ上がって、自力で返済をすることができなくなってしまった場合、もし、自己破産の手続きというものがなければ、その人は逃げ道を失ってしまいます。実際、経済的な理由で、自ら命を絶ってしまう人の数は決して少なくはありません。
>>借金苦で自殺・死亡する人の数と死ぬことを考える前にやるべきこと
そういったやむを得ない事情を抱えている人にとって、自己破産はしたもん勝ちというレベルではなく、その人の命を守るためになくてはならないものなのです。
まとめ
自己破産をされた人にとっては、自己破産をした人は恨めしく見えるでしょうし、自己破産はしたもん勝ちだと思ってしまいやすくなってしまうのは、ある意味、しょうがないと思います。ですから、自己破産をする人は、そういった債権者の人たちの気持ちを真摯に受け止めなければならないことも事実です。
しかし、その一方で莫大な借金を抱えて返済ができなくなってしまった場合は、そういった周りからの厳しい目とか関係なく、自らの最低限の生活を維持するため、そして場合によっては、自らの命を守るために、自己破産はむしろやった方が良いと言えるのです。
借金の状況によっては、自己破産をしなくても、任意整理など別の債務整理の方法で解決できる場合もあるので、まずは気軽に弁護士などに相談をしてみてください。