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自己破産をすると、ある一定以上の現金や財産があると、差し押さえの対象になってしまうことがあります。そういった話を聞くと、PS5やSwitchなどのゲーム機も、差し押さえの対象になって、没収されてしまうのではないかと考える人も出てきます。
自己破産をする本人がゲーム好きで、ゲーム機を没収されると嫌だなあと思っている方もいれば、お子さんがゲーム好きで、ゲームが没収されたら、お子さんから反感を買ってしまうのではないかと心配している人もいるようです。
自己破産をするのだから、娯楽用品であるゲーム機は没収されても仕方ないかもと思う方もいるようですが、実際のところはどうなのでしょうか。そこで、この記事では、自己破産時に差し押さえられる財産の基準から解説をしていきながら、実際にゲーム機は差し押さえの対象になるのかという点について徹底的に解説をしていきます。
目次
自己破産でゲーム機は差し押さえられる?対象となる基準を解説
自己破産でゲーム機は差し押さえられるかを判断するためには、まず、自己破産をするとどのような財産が差し押さえの対象になるのかを確認しましょう。
差し押さえの対象となる財産
自己破産をした際、差し押さえの対象となる財産の種類についてお伝えすると具体的には以下の通りです。
- 市場価値が20万円を超えるもの
- 99万円を超える現金・預貯金
- 不動産(自宅や土地)
- 高価な家電や貴金属
- 車やバイク(ローン残債なし)
差し押さえの対象外となる財産
その一方で自己破産を行なっても自己破産の対象外となる財産は以下のようなものがあります。
- 99万円以下の現金・預貯金
- 生活必需品(冷蔵庫・洗濯機・ベッドなど)
- 市場価値が20万円以下の家電
- 衣類や日用品
こういった条件を見てみるとゲーム機が差し押さえの対象となるか判断する上で、重要となってくるのは、「ゲームは生活必需品なのか?」とか「ゲームの市場価値が20万円を超えるか?」という点になることが分かるのではないでしょうか。
自己破産でゲーム機は差し押さえにならない理由
自己破産をするとゲーム機が差し押さえになるのではないかと思う方もいらっしゃいますが、結論から言うと、
- ゲーム機が差し押さえの対象になることは、まずあり得ません。
その理由は、3つあります。
- ゲーム機の市場価値は20万円を超えないから
- ゲーム機は生活必需品として認められることが多いから
- ゲーム機は、自由財産の範囲に収まるケースがほとんどだから
では、具体的にどういうことなのか一つずつ見ていきましょう。
ゲーム機の市場価値は20万円を超えないから
自己破産において差し押さえの対象となるのは、市場価値が20万円を超える動産(家電・家具など)ですが、一般的なゲーム機はこの基準に当てはまりません。ここで代表的なゲーム機の価格を見てみると、以下のような感じです。
- PlayStation 5(PS5): 新品で約7万円~8万円、中古で約5万円前後
- Nintendo Switch :新品で約4万円、中古で約3万円前後
- Xbox Series X :新品で約7万円、中古で約5万円前後
- ゲーミングPC(エントリーモデル): 10万円前後
最新の価格に関しては、価格.comなどを参照すると良いでしょう。このように、市場価格を見ても20万円を超える家庭用ゲーム機はほとんど存在しないため、差し押さえになることは基本的にあり得ないのです。
ゲーム機は生活必需品として認められることが多い
ゲーム機は、財産の中でも動産(持ち運び可能な財産)として見なされていますが、差し押さえが禁止されている動産については、民事執行法131条に明記されています。
そこでは、差し押さえ禁止動産に関して以下のような記述があります。
債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
実は、ゲーム機は、ここで言われている生活に欠かせないものに該当します。
生活に欠くことができないものとしては、他にもパソコン、テレビ、ラジオ、ベッド、エアコン、ビデオデッキ、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、タンス、食器棚、食卓など、大半のものが含まれます。
実際、ゲーム機は、家族のコミュニケーションツールとしての役割も果たしますよね。特に、子供がいる家庭では、ゲーム機は子供の成長や教育の一環として使われることもあります。例を挙げると以下のような感じです。
- 子供が友達と遊ぶためのツールとして(例:「Switchで友達とマリオカート」)
- 家族の団らんツールとして(例:「年末年始にみんなで桃鉄」)
- 学習用途として(例:「Nintendo Laboでプログラミング学習」)
ブランド品など高価なものだと差し押さえの対象になったり、一つ目までは大丈夫でも二つ目以降は差し押さえの対象になるものもあります。しかし、ゲーム機は単なる贅沢品ではなく、家族の生活に密接に関わる道具とみなされることが多いため、裁判所が贅沢品と判断する可能性は低いのです。
ゲーム機は自由財産の範囲に収まる
自己破産をすると、多くの財産は破産財団に組み込まれ、管財人によって換価(売却)される可能性があります。しかし、裁判所は債務者の生活を維持するために必要な財産は自由財産として一定額まで保護する仕組みを設けています。自由財産とは、自己破産後も債務者が手元に残せる財産のことです。具体的には、以下のようなものが対象になります。
- 市場価値が20万円未満の家電・家具
- 99万円以下の現金・預貯金
- 衣類・食器・寝具・生活必需品(冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど)
ゲーム機は高額な財産ではなく、日常生活の中で利用するものなので、自由財産として保護される可能性が高いです。
また、仮にゲーム機が高額であったりして、自由財産と見なされなかった場合でも、「自由財産の拡張申立」という制度を利用する方法があります。破産法34条4項では、裁判所が破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができると記載されています。
具体的に言うと破産者の生活に必要な財産であると認められた場合、通常の自由財産の枠を超えて財産を手元に残すことができる制度です。
例えば、「仕事や生活に必要である」と説明できれば、高価なゲーミングPCでも手元に残せる可能性があるのです。このように、ゲーム機が単なる娯楽のためではなく、生活に密接に関わるツールであることを示すことで、差し押さえを回避できる可能性が高まるでしょう。
子供のゲーム機は差し押さえの対象になる?
「親が自己破産すると、子供のゲーム機まで差し押さえられるのか?」と心配する方もいるでしょう。結論を先にお伝えすると、
- 子供の所有物であれば、基本的に差し押さえの対象にはなりません。
自己破産の手続きでは、債務者本人の財産が処分の対象となるため、子供が自分のお小遣いや貯金で購入したゲーム機は原則として影響を受けません。しかし、購入方法などによっては状況が変わってくるので、以下の点を確認するようにしてください。
子供のゲーム機が差し押さえられないケース
- 子供が自分のお小遣いや貯金で購入した場合
- 購入時のレシートや保証書が子供名義になっている場合
- 親の自己破産とは関係なく、子供が所有していることを証明できる場合
子供のゲーム機が差し押さえられる可能性があるケース
- 親のクレジットカードや銀行口座で購入した場合
- 名義が親であり、親の財産とみなされる場合
- ローンを組んで購入した場合(支払いが完了していないと処分の対象になりやすい)
このように、親が自己破産しても、子供のゲーム機は基本的に保護されますが、購入時の支払い方法や名義によっては処分対象となる可能性もあります。そのため、不安な場合は弁護士に相談し、所有証明となるレシートや振込記録を準備しておくと良いでしょう。
例外!ゲーム機が差し押さえられるケース
基本的に家庭用ゲーム機は自己破産時に差し押さえられることはありませんが、一定の条件に当てはまる場合は対象になる可能性があります。ここでは、具体的なケースを詳しく解説していきますね。
高額なゲーミングPC・カスタムPCである場合
家庭用ゲーム機は市場価値が20万円を超えることはほとんどありませんが、ゲーミングPCは高額なモデルが多く、差し押さえ対象となる可能性が高いです。特にゲーミングPCは以下のような点から差し押さえられる可能性があるでしょう。
- 一般的な家庭用ゲーム機と異なり、市場価値20万円を超えるモデルが多い
- 高性能なグラフィックボードやCPUを搭載したPCは、中古市場でも高値で取引される
- 生活必需品というよりは、趣味・娯楽品とみなされることが多い
複数のゲーム機を所有している場合
PS5、Nintendo Switch、Xbox Series Xなど、複数のゲーム機を所有している場合、一部が不要と判断される可能性があります。自己破産では、基本的に生活に必要な最低限の財産は残すことができます。しかし、同じ種類の財産を複数所有している場合、「本当にすべて必要なのか?」と判断される可能性があるのです。
実際に起こりうるケースとして、以下が挙げられます。
- PS5とSwitchを所有 → どちらか1台のみ残し、もう1台は処分を求められる可能性
- PS5を複数台所持 → 1台だけ残し、他は換価対象にされる可能性
ただし、これは破産管財人の裁量による部分が大きいため、必ず差し押さえられるわけではありません。
まとめ
自己破産を行なうと、ありとあらゆるものが差し押さえに遭い、ゲーム機さえも、没収されてしまうのではないかと心配する方もいらっしゃいます。
ただ、ゲームは、生活必需品として見なされ、換価した金額も20万円以下となって、自由財産の範囲に収まるケースがほとんどですし、そもそも子供の所有物であるケースも多いので、差し押さえになることは皆無と言って良いでしょう。自己破産に対しては、怖いイメージを持っている方が多いかもしれませんが、生きていく上で必要なものは、守られるので、そこまで大きな心配をする必要はありません。
しかし、その一方で、20万円以上の価値になるようなゲーミングPCを持っているケースやゲームを複数台所持している場合は、ゲーム機でも差し押さえの対象になる場合があります。そのため、心配な方は自己破産に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

自己破産に関しては、弁護士などに無料で相談できるサービスもあるので、ぜひ、気軽に相談してみてください。
ちなみに、ゲーム好きの方の中には、ゲーム課金による借金で自己破産に至るケースもあります。その場合の対処法については、以下の記事を参考にしてください。