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奨学金が返済できない若者の数は急増しており、それゆえに結婚できなかったり、破産をしたりしてしまう人も増え、社会問題になっています。
「借りたものは返すのは当たり前、奨学金を返せないのは甘えだ」と厳しく指摘する人もいます。
しかし、そんな簡単には済ませられない状況があるのも事実です。
ここでは、奨学金が返済できない人のデータや、その理由、そして返済できない場合に起こることや具体的な対処法まで解説していきます。
目次
奨学金を返済できない人の数
JASSO(日本学生支援機構)のデータによると、奨学金の滞納者の数は、2012年で33万4,000人、滞納額は925億円となっています。
1998年の奨学金滞納者の数は15万人だったので、わずか14年でその数は2倍以上に増えています。
奨学金が返済できない人の割合は、奨学金を利用している人数の10%~20%という話もあり、かなり深刻な問題となっています。
返済できない人はなぜ増えているのか?
奨学金を返済できない若者が急増している理由は2つ考えられます。
学費の値上げ
まず、学費が年々上昇し続けているという点が挙げられます。
PRESIDENTのデータによると、少子化で学生の数は減る一方で、国立大学の授業料は、1990年は33万9,600円だったのが2015年には53万5,800円と約6割も高くなっています。
大学に通っている間は、よく分からなくても、卒業すると300万~600万円の借金を抱える訳ですから、これは若者にとって相当な負担になります。
奨学金が返済できないのは甘えだと指摘する人もいますが、金銭感覚のない大学生の段階で、返済負担についてキチンと理解しろという方が無理な話なのかもしれません。
雇用が悪い時代が長く続いた
そして、もう一つの背景としては、バブルの時代が終わった後、失われた20年で経済が低迷し、学生が安定した仕事に就けない時代が続いたという点も挙げられます。
最近は、失業率も下がって来ましたが、それでも不景気の時代に良い仕事に就けなかった若者は、雇用が不安定な状態が続きやすくなります。
ですから、もし、無職になってしまったり、給与が低かったりすると、奨学金の返済地獄にハマってしまうのは時間の問題となってしまいます。
奨学金が返済できないとどうなる?
では、奨学金が返済できないとどうなってしまうのでしょうか?
具体的には3つの段階に分かれます。
催促
最初は、催促状が郵送で送られて来ます。
また、滞納が始まった段階で、2.5%~10%の延滞金が掛かるようになってきます。
日本学生支援機構では、返還開始後6ヶ月を経過した段階で、3ヶ月以上の延滞があった場合は、信用情報機関に奨学金利用者の個人情報を登録してしまいます。
いわゆるブラックリスト状態になってしまう訳です。
ブラックリスト状態になると、銀行や消費者金融から新たな借り入れができなくなったり、クレジットカードを作れなくなったりしてしまいます。
そして、滞納から4ヶ月経つと、日本学生支援機関は、債権回収業者(サービサー)に回収を委託するようになるので、取り立てはもっと厳しくなります。
法的措置
それでも、奨学金を返済できない状態が続き、約9か月間が過ぎると、今度は、裁判で訴えられる可能性が出て来ます。
もし、裁判で訴えられたら、勝ち目はなく、その段階で一括払いを求められてしまいます。
奨学金が返済できず、返還訴訟を起こされた人の数は、2016年で8,400件となっており、8年前に比べて100倍に増えているという現状があります。
差し押さえ
もし、それでも奨学金が返済できない場合は、裁判所から強制執行を受けるようになり、財産が差し押さえられ、競売されたりするようになります。
こういった話を聞くと、日本学生支援機構はエグイと思うかもしれません。
ただ、裏を返せば、JASSO(日本学生支援機構)も滞納者がこれだけ増えて、かなり困っているので回収に必死になっているという現実もあるのです。
奨学金を返せない場合の対処法
もし、奨学金を返せない場合は、早めに日本学生支援機構に連絡をして、以下の対応が可能か相談をしてみて下さい。
返還期限猶予
返済猶予期間を設けてもらう制度です。
災害にあたり、失業したりして、経済的に困難になった場合、最長で10年返済期間を猶予してもらうことができます。
減額返還
減額返還制度も諸事情で、返済が難しくなってしまった場合、月々の返済額を減らしてもらうという制度です。
ただし、返済する総額が減るワケではないのでご注意下さい。
所得連動返還型無利子奨学金制度
これは、返還期限猶予にプラスして、年収が300万円を超えるまでは、返済を猶予してもらえる制度となっています。
年収が低い人は、こちらの制度が利用できないか相談してみて下さい。
返還免除
もし、本人が死亡したり、精神あるいは肉体に障害を抱えて働けなくなったりした場合は、返済が免除されることもあります。
ただ、これは特殊なケースだと言えるでしょう。
自己破産や個人再生をする際の問題点
それでも奨学金が返済できなくなってしまった場合、自己破産や個人再生を選択するという若者も増えています。
ただ、奨学金の問題点の一つとして、親や親戚などが連帯保証人や保証人として立てられているケースが多いという点が挙げられます。
そのため、自己破産や個人再生をすれば、返済義務が保証人に発生して、下手をしたら身内も一緒に自己破産や個人再生をすることになってしまう可能性があります。
機関保証の場合は?
その一方で、親や親戚が保証人になる人的保証ではなく、保証会社を立てる機関保証で奨学金を借りている人もいらっしゃいます。
機関保証は、親が債務整理を行ったりしていて、連帯保証人になれないようなケースに対応するため、2004年度から始まった制度です。
奨学金を申請する場合に、機関保証を選択すれば、毎月の奨学金から保証料が差し引かれるようになります。
そして、もし奨学金が返済できなくなった場合は、親族ではなく、公益財団法人日本国際教育支援協会が保証するというシステムになっています。
ですから、機関保証制度を利用している人は、自己破産(あるいは個人再生)をしても最低限、親などの親戚には迷惑が掛からなくなっています。
しかし、親などが保証人になっている場合は、状況はかなり厳しくなってくるので、もし奨学金以外の借金があれば、そちらを任意整理という別の債務整理の方法で解決できないか検討する必要が出て来ます。
奨学金だけでなく、他にも借金を抱えている場合は、良い解決法があるかもしれないので、一度、法律の専門家に無料相談することをオススメいたします。