
信用保証協会は、中小企業などが銀行などの金融機関から資金融資を受ける際の信用保証を行うことによって、事業主の資金繰りを円滑化することを目的にとして設立された認可法人です。
事業主は、信用保証料を支払うことになりますが、それによって融資を受けやすくなるというメリットがあります。
ただ、結果的に返済不能になって信用保証協会が代位弁済を行っても、それは、借金の肩代わりをしてくれたという話になりません。
代位弁済によって、信用保証協会は求償権を得て、今度は、金融機関に変わって、事業主(あなた)に対して返済を要求してくるからです。
では、その場合、自己破産などの債務整理によって解決をした方が良いのでしょうか?
目次
信用保証協会との交渉はどこまで可能
銀行などから受けた融資を滞納した期間が6ヶ月ぐらい続くと、信用保証協会が代位弁済をして、求償権を得ます。
そして、信用保証協会から業務委託を受けた保証協会サービサーから呼び出しが掛かり、まずは、一括請求での返済を要求されます。
ただ、信用保証協会や保証協会サービサーの人も、事業主の人が最初から一括請求ができるとは思っていないでしょう。
それだけの返済能力があるのであれば、返済不能になって代位弁済になることは、まずないからです。
ですから、信用保証協会の人と交渉をすれば、分割払いにしてもらうことも十分可能です。
また、月々の返済金額も、数千円~数万円に収まるケースが多いです。
ですから、返済が厳しくなって、結局、代位弁済になってしまったけれども、逆に月々の返済額が減ったというケースも意外に多くあります。
信用保証協会の遅延損害金について
ただ、月々の返済額が減ったからといって、喜んでいると痛い目に遭う可能性があります。
なぜなら、信用保証協会が代位弁済を行った後、利息は掛からないけれども、その代わり、年率で14.6%の遅延損害金が掛かるからです。。
ですから、月々の返済額が減る代わりに、いつまで経っても借金が減らないというジレンマに陥ってしまうリスクがあるのでご注意下さい。
ただ、遅延損害金に関しても、元金さえ早く支払えば遅延損害金は免除してもらえたというケースを聞くこともあります。
実際、ここら辺は、債務者の方の返済スピードと、信用保証協会との交渉次第ということになります。
信用保証協会は和解交渉に応じてくれるのか?
信用保証協会は、公的機関であり、税金も使って運営されているところなので、その立場上、債務放棄には原則として応じてくれません。
一応、債務者の事情によっては、「債権の一部さえ支払えば残債を放棄する」という形で和解に応じてくれたケースもあります。
しかし、それはやはり稀なケースなので、あまり期待はしない方が良いでしょう。
信用保証協会が代位弁済をした場合の時効
もし、返済不能であるという理由で、信用保証協会や保証協会サービサーからの呼び出しや取り立てを無視して、時効に持ち込むことは可能なのでしょうか?
信用保証協会が代位弁済をした場合、信用保証協会が元々どういった債権を保証していたかによって求償権の時効の期間が変わります。
- 債務者が事業目的で借入れを行っていた場合:5年
- 債務者が個人的な目的で借入れを行ったいた場合:10年
ただ、信用保証協会が業務委託をする保証協会サービサーは債権の回収を目的とした会社ですから、時効の期間が過ぎないように裁判をして来ます。
最悪の場合は、差し押さえをされるリスクもありますので、ご注意下さい。
返済不能になったらどうすれば良い?
ですから、もし、信用保証協会が代位弁済を行った後も、返済不能の状態が続いている場合は、
- 信用保証協会と交渉をして月々の返済額を減らしてもらう
- 弁護士などに相談をして債務整理を行う
といずれかの方法を選ぶ必要が出て来ます。
債務整理を行う場合、自己破産であれば、すべての債務を免責にしてもらうことも可能です。
ただ、住宅ローンが残っていて、自己破産をすると家を手放さなければならなくなってしまう方は、個人再生を行うことによって債務を約5分の1に減らすという方法を選ぶことも可能です。
しかし、信用保証協会は、個人再生で小規模個人再生を行った場合、再生計画案に反対しやすいと言われています。
ですから、信用保証協会への返済が難しいという方は、弁護士などによく相談をしてから方向性を決めていくのが良いでしょう。
まとめ
信用保証協会が代位弁済をしたと聞くと、かなりショッキングなことに聞こえますし、最初に一括請求をされると、絶望するような気持ちになってしまうかもしれません。
しかし、信用保証協会との交渉によっては、月々の返済額をかなり減らしてもらうことも可能なので、まずは粘り強く話をしてみることも大切です。
ただ、信用保証協会は、債務自体の減額などに原則として応じていないですし、遅延損害金はしっかり掛かって来ます。
ですから、もし返済不能の状態なのであれば、早めに弁護士を通じて債務整理の検討をしてみることをお勧めいたします。

信用保証協会が分割払いに応じてくれたとしても、債務の総額が減ることはないので、債務整理で一気に債務を減額することも一つの有効な方法だと思いますよ。