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国の教育ローンが返済できない場合はどうすれば良いのでしょうか?
国の教育ローンは世帯年収が上限以下であれば年収が低くても低金利で貸し付けをしてもらえるという特徴があるので、子どもを進学させたくてもお金がない家庭にとって非常にありがたいシステムです。
ただ、それでも教育ローンが返済できないケースは出て来るので、そういった場合に猶予してもらうなどの対処法や債務整理を行う場合の注意点について解説をしていきます。
(教育ローンは大きく分けて日本政策金融公庫(旧:国民生活金融公庫)の教育ローンと銀行など民間の金融機関が行なう教育ローンに分かれますが、ここでは国の教育ローンである日本政策金融公庫でのケースについてお伝えします。)
目次
教育ローンの返済ができない場合は?
日本政策金融公庫が行っている教育ローンは、金利が1.68%なので、月々の返済額もそれほど高くはなりません。
ただ、国の教育ローン以外の借金もいろいろ抱えてしまうと、返済が難しくなるケースも出て来ます。
そういった場合はどうすれば良いのでしょうか?
据置期間の制度(元金の返済猶予)を利用する
子供が在学期間中の場合は、利息のみの支払いも可能です。
この制度については、日本政策金融公庫のHPに記載されています。
在学期間中は元金の返済を据置き、利息のみのご返済とすることができます
これは元金の据置(元金の返済猶予)制度となりますが、この方法で一時的にしのぐことも可能です。
ただ、ここで気を付けないといけないのは、据置期間は教育ローンの返済期間に含まれてしまうという点です。
つまり、子供が卒業して通常の返済になった場合は、据置期間を設けていなかった場合に比べて、月々の返済額が逆に増えてしまいます。
ですから、元金の返済猶予の制度を利用する場合は、返済シミュレーションをしっかり立てた上で判断するようにして下さい。
返済期間や据え置き期間を延長してもらう
それでも、返済ができない場合は、返済期間や元金据え置き期間の延長ができないか日本政策金融に相談してみる必要があります。
ただ、返済を猶予してもらうためには、収入が減ったとか、子供の卒業が延びたなど相応の理由が必要です。
さらに、既に滞納をしている場合は、それまでに発生した遅延損害金などを払うまでは、延長が認められないなど前提条件があります。
しかし、日本政策金融としては、返済の相談に応じないと回収不能になるリスクを抱えることにもなるので、一度、思い切って相談してみることをオススメいたします。
国の教育ローンに関しては、日本政策金融公庫の国民生活事業が管轄していますので、実際の取引を行った支店をこちらのリストから確認をして問合せをすると良いでしょう。
教育ローンを返済できない状態を放っておくと
国の教育ローンを返済できない状態が続いてしまうと具体的にどういう事態が起こってしまうのでしょうか?
遅延損害金が発生する
国の教育ローンは返済が1日でも遅れると、年8.90%の遅延損害金が発生します。
通常の利率は、年1.68%なので、5倍以上に跳ね上がる訳ですね。
仮に残高が200万円あって、2ヶ月(60日間)滞納した場合の遅延損害金は、
200万円 x 8.9% ÷ 365 x 60 = 29,260円
となります。
このように返済が遅れれば遅れるほど、余計な出費がかさんでしまうのです。
ブラックリストに載ってしまう
日本政策金融公庫は、株式会社シー・アイ・シーと全国銀行個人信用情報センター(KSC)という2つの信用情報機関に加盟しています。
ですから、教育ローン返済の滞納が約2~3ヶ月続いてしまうと、延滞した情報が信用情報機関に登録されてしまい、いわゆるブラックリストに載った状態となってしまいます。
日本政策金融倉庫の資料にも記載されていますが、国の教育ローンが払えず、延滞をしてしまった内容は、原則として、本契約期間中及び本契約終了日(完済していない場合は完済日)から5年間は、その情報が残り続けます。
そして、その期間は、新たなローンを組むなど、借入れを行ったり、クレジットカードを作ることは、或いは持つこと自体も難しくなってしまいます。
一括請求をされる
さらに、滞納を続けていると、期限の利益を失ってしまうので、一括請求をされてしまいます。
また、保証機関を利用している場合は、保証機関である(公財)教育資金融資保証基金が代位弁済をした後、保証機関から一括返済をされます。
(教育資金融資保証基金の遅延損害金の利率は、日本政策金融公庫と同率です。)
一括請求をされた場合でも、教育資金融資保証基金に連絡をして個別の返済方法の相談に乗ってもらえる可能性はあります。
ただ、誠意を持って、対応をしなければ、より厳しい処置が待っているので、注意が必要です。
連帯保証人に迷惑が掛かる
国の教育ローンが返済できない場合、保証機関を利用していれば、債権者が、日本政策金融機関から保証機関に代わるだけで、返済を請求されるのは、あなたであることに変わりはありません。
しかし、保証機関を利用せず、連帯保証人を立てていた場合は、あなたが返済ができないと、連帯保証人に返済の請求が行われます。
また、この時も、原則は一括請求となります。
あなたが教育ローンを申し込む際、あなたを信頼して、あなたのために連帯保証人になってしまった人に対して、恩を仇で返す形になってしまうのです。
差し押さえのリスクも
しかし、それでも、国の教育ローンの返済ができず、放置し続けた場合、最終的には、裁判所を通じて、訴訟を起こされ、最悪の場合は、強制執行される可能性が出て来ます。
強制執行されると、給与や財産を差押えられてしまいます。
また、連帯保証人を立てていて、連帯保証人も返済ができない場合は、あなたと連帯保証人の双方が、強制執行の対象となるので、注意が必要です。
国の教育ローンの時効は5年?10年?
国の教育ローンが返済できない人の中には、何とか、時効の期間が過ぎるまで、逃げ切ろうという方がいらっしゃいます。
ただ、こちらの方は、国の教育ローンに返済ができなかった際、保証機関として指定されている(公財)教育資金融資保証基金から時効について、以下のような説明を受けたと言っています。
国民生活金融公庫の教育ローンは消費資金であり、求償権者である当基金の保証履行は、商法上の消滅時効は適用されず当基金の求償債権については消滅時効は完成していない。よって時効による支払い拒絶は理由がありません。
この話だけを聞くと、国の教育ローンには時効がないようにも思えてしまいますよね。
一般的に、時効の期間は、
- 商事債権である場合(商法522条):5年
- 商事債権でない一般債権である場合(改正前民法167条):10年
となっています。
国民生活金融公庫の教育ローンは、商事債権とは見なされないため、日本政策金融機関や(公財)教育資金融資保証基金からの借金の5年では時効を迎えることがないということになります。
ただ、一般債権である場合でも、10年を過ぎれば時効を援用することができるというのも事実です。
(さらに、改正民法の適用に伴って、2020年4月1日以降に成立した債権に対する時効は、商事債権、一般債権に関係なく、原則5年となりました)
しかし、その一方で、日本政策金融機関は、時効を援用しようとする人に対しては厳しく対応すると指摘する人もいます。
ですから、時効を迎えるまで、逃げ切ろうということは、あまり考えない方が良いでしょう。
教育ローンを債務整理する場合
国の教育ローンの返済がどうしても難しい場合は、債務整理を行なうという選択肢もあります。
その場合は、以下の点に気を付ける必要があります。
連帯保証人がいる場合は任意整理を検討
国の教育ローンを債務整理する場合、連帯保証人がついているとかなり厄介です。
連帯保証人を立てている場合は、個人再生や自己破産を行うと、連帯保証人に対して返済義務が発生してしまうからです。
日本政策金融公庫の教育ローンを利用している方は、以下のいずれかの方法を選択されたはずです。
- (公財)教育資金融資保証基金による保証を利用する(保証料が融資金から一括して差し引かれます)
- 連帯保証人(進学者・在学者の4親等以内の親族で進学者・在学者の配偶者を除く)を立てる
ですから、連帯保証人を立てている場合は、国の教育ローン以外の借金を任意整理で減らすことを通じて、借金問題を解決できないか弁護士や司法書士に相談をしてみて下さい。
任意整理は、債務整理の中で、最も多くの方が選択される手続きです。
任意整理を行うと、弁護士や司法書士が債権者と任意の交渉を行ない、将来的な利息をカットして、元本のみを3年~5年で返済ができるよう和解をしてもらうことも可能です。
国の教育ローンは、通常の金利が1.68%と低いですが、銀行や消費者金融からの借金の金利は10%以上のことも多いので、任意整理を行うと効果が高いです。
実際にあなたの借金の負担をどれくらい減らせるかは、以下のサービスを使えば、無料で診断をしてもらうことができます。
国の教育ローンは個人再生が可能?
任意整理での解決が難しく、連帯保証人の問題を解決できそうな場合は、個人再生で解決できないか検討することになります。
実際、国の教育ローンに対して、自己破産だとダメージが大きいので、個人再生を選択する方は多いです。
個人再生であれば住宅ローン特則を利用することによって、住宅を手放すのを防ぐことができますし、借金も大幅に減らす(約5分の1に減額)ことができるというメリットがあるからです。
個人再生では、小規模個人再生と給与所得者等再生と大きく2つの方法が分かれ、ほとんどの方は小規模個人再生を利用されます。
ただ、小規模個人再生の場合は、再生計画案を提出した際、下記のいずれかの場合は、再生計画案が却下されてしまいます。
- 債権者の半数以上が反対する(異議を唱える)
- 反対した債権者の債権額が全体の債務の半分以上となっている
国の教育ローンは、2008年まで国民生活金融公庫が行なっていましたが、その時は、異議を唱えるケースが多く、それによって債権者の同意が得られないということで再生計画案が認可されないこともよくありました。
しかし、教育ローンの管轄が日本政策金融公庫に変わってからは、反対するケースが減って来ています。
ただ、それでも反対されてしまった場合は、同じ個人再生で給与所得者等再生の手続きを行なうか検討をしていくことになります。
(※給与所得者等再生の手続きはサラリーマンなど給与所得者しか利用ができませんし、借金の減額幅が少なることもある多いので、その点はご注意ください)
国の教育ローンは自己破産の対象になる?
個人再生での解決が難しければ、最後は、自己破産の選択肢を検討することになります。
国の教育ローンは、日本政策金融という政策金融機関が債権者となるので、自己破産の対象になるか心配する方もいらっしゃいますが大丈夫です。
国の教育ローンも自己破産の対象となります。
逆に、自己破産の手続きをする際は、必ず、教育ローンの負債も整理の対象に含まなければなりませんし、原則として免責されることになります。
まとめ
国の教育ローンが返済できない時は、猶予の制度を利用したりしながら、できるだけ自力返済の方法を模索することが大切です。
しかし、それでも返済が難しい時は、早めに次の手を考える必要があります。
なぜなら、国の教育ローンの返済の滞納が続くと、
- 年率8.9%の遅延損害金が膨れ上がる
- 信用情報機関に事故情報が登録される
- 一括請求をされる
- 連帯保証を立てている場合は迷惑が掛かる
- 給与や財産が差し押さえに遭うかもしれない
など、様々なリスクが発生するからです。
また、債務整理を行う場合は、
- 国の教育ローン以外の借金を任意整理で減らして解決する
- 個人再生で国の教育ローンを含む借金を約5分の1に減額する
- 自己破産で国の教育ローンを含む借金の全額を免責してもらう
など、いくつかの方法があります。
国の教育ローンが返済できない時、一番良くないのは借金を放置することなので、様々な問題が発生してしまう前に弁護士や司法書士に早めに相談されることをお勧めいたします。