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自己破産をする人の中には財産隠しや通帳隠しをしようとする人が時々いらっしゃいます。
ただ、そういった行為はバレる可能性が高いですし、もしバレると深刻な事態が待っています。
ここでは、自己破産をする際、財産や通帳を隠すのは、なぜ良くないのか、その理由を解説していきます。
目次
財産隠しや通帳隠しの方法
元々、財産がない人であれば、同時廃止事件という簡単な方法で破産手続きを行なうことができます。
しかし、多くの財産を持っている人の場合は、管財事件となり、破産管財人とが専任された人が破産者の財産を清算していくことになります。
ここで、財産の処分を恐れる人の中には財産や通帳を隠す人が出て来ます。
財産隠しや通帳隠しをする場合は、大体以下のパターンのいずれかに当てはまります。
いずれも禁止されている行為なので、絶対にやらないで下さい。
直前に名義を移す
財産が自分の名義になっていると、自己破産をした際、処分の対象となってしまいます。
そこで自己破産をする直前に名義を親族や友人に変えたり、通帳のお金を移したりして財産隠しをする人がいます。
偽装離婚をする
離婚をすれば、財産分与という形で、自分名義の財産の一部が配偶者に移行されます。
本当に離婚ということであれば大丈夫なのですが、中には財産隠しのために偽装離婚をする人がいます。
財産目録に虚偽の記載をする
自己破産の手続きでは、タンス貯金も含めて、財産の内容をすべて記載した財産目録を提出する必要があります。
その書類にわざと偽りの記載をして財産や通帳を隠す人もいます。
財産調査で財産隠しや通帳隠しはバレる
実際、自己破産をすると、通帳も含めた財産は、どこまで調べられるか気になる方もいらっしゃるかと思います。
自己破産の手続きでは、代理人である弁護士が財産調査を行ない、過去2年分のお金の出入り(入出金)がしっかりチェックされます。
通帳に関しては、過去2年間分の債務者本人の通帳の提出が求められますが、場合によっては家族の通帳のコピーの提出が求められる時もあります。
また、普段使っていない口座でも、それなりの金額が入っていると、後から通帳隠しを疑われるリスクがあるので、提出されることをお勧めいたします。
債務者は弁護士に自分が使用している通帳を提出しますが、通帳口座の取引履歴を通じて以下の内容が細かくチェックされます。
- 仕事の給与や副業による収入
- 家賃、光熱費、保険、固定資産税、自動車税、駐車場料金、ガソリン代の支払いなど
銀行などの預金口座の入出金と他の書類をチェックして、お金の流れが不自然であれば、別の通帳を作って預金隠しをしているのではないか弁護士、あるいは裁判官から疑われることもあります。
この他にも、源泉徴収票や課税証明書、そして郵送物なども提出する必要がありますし、債務者の経歴、収入、家族の状況などから隠し金がないか厳しくチェックされます。
弁護士はかなり細かい部分まで調べますし、マイナンバー制度の導入により、今後、財産隠しをして自己破産をするのはさらに難しくなってくるでしょう。
いずせにせよ、このような調査で、財産隠しや通帳隠しはバレる可能性が高いです。
ちなみに個人再生でも通帳隠し(口座隠し)を行うと、大きなペナルティを受けます。
財産隠しや通帳隠しがバレてしまったら?
もし、財産を意図的に隠していたのではなく、ただの申告漏れであったのであれば、大きな問題にはなりません。
しかし意図的に財産隠しや通帳隠しをしていた場合は、以下のような深刻な事態が待っています。
免責不許可事由に該当してしまう
財産を隠して自己破産をすることは、破産法252条第1項1号、7号で明記されている免責不許可事由に該当してしまいます。
1 債権者を害する目的で,破産財団に属し,又は属すべき財産の隠匿,損壊,債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと
7 虚偽の債権者名簿(第248条第5項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと
もし、免責不許可事由に引っ掛かり、裁判所から免責を受けられなくなると、莫大な債務はそのまま残ることになってしまいます。
詐欺破産罪に科せられる
財産隠しや通帳隠しをして自己破産をすることは、立派な犯罪行為です。
法的な観点から見れば、破産法第265条の詐欺破産罪が適用され、
- 10年以下の懲役
- 1,000万円以下の罰金
- あるいは両方
を科せられてしまいます。
ちなみに、詐欺破産罪に該当する行為は以下のように定められています。
1. 債務者の財産を隠匿し、又は損壊する行為
2. 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
3. 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
4. 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為
自己破産の財産隠しに時効はある?
自己破産で財産隠しや通帳隠しを行って、仮に、バレずに免責を受けられたとします。
しかし、免責を受けた後でも、後から財産隠しや通帳隠しが発覚した場合は、罪に問われてしまいます。
そこで気になるのが財産隠しをした場合の時効ですが、考え方は2パターンあります。
- 債権者が詐害行為取消権(民法424条)を行使する場合:取消の原因をしった時から2年、または行為の時から20年(民法426条)
- 管財人が否認権を行使する場合:破産手続き開始から2年または、行為の時から10年(破産法176条)
厳密には、時効ではなく、除斥(じょせき)期間といって、債権者や管財人の権利について法律が定めた存続期間となります。
ですから、万が一、財産隠しや通帳隠しに成功して免責を受けられたとしても、いつ、バレて、罪に問われるかという不安がつきまとうことになるのです。
そもそも財産や通帳を隠しをする必要がない場合も
自己破産では本来、20万円を超える財産(預金も財産に含まれます)や99万円を超える現金は処分の対象となります。
しかし、もし自己破産の申立て時に申告をして、所有している財産が裁判所から生活再建に必要だと認められれば、自由財産の拡張という形で、保有が認められる場合もあります。
ですから、自由財産の拡張に該当しそうな財産があれば、隠そうとはせずに、早めに弁護士に相談されることをオススメいたします。
申告漏れの財産はどうなる?
意図的な財産隠しや通帳隠しではなく、単なる申告漏れであれば、免責不許可事由の対象にはなりません。
ただ、申告していなかった財産は、自由財産の拡張対象にもならないので、ご注意下さい。
タンス預金は現金?預金?
タンス預金は”預金”という名前で呼ばれていますが、実際は、現金として扱われるので、99万円までは自由財産として確保することができます。
通常の銀行口座預金は、20万円を超える分が処分が対象となり得ますが、タンス預金であれば、99万円まで大丈夫なので、隠す必要がない人は多いかと思います。
自己破産以外の債務整理の方法で解決できる場合も
もし、どうしても守りたい財産や通帳があるのであれば、自己破産以外の債務整理の方法で、借金問題を解決できないかチェックしてみることをお勧めいたします。
例えば、任意整理であれば、財産や通帳はチェックされません。
また、自己破産を覚悟している人でも任意整理で解決できるケースは意外に多くありますので、まずは、借金をどれだけ減額できるか無料診断を受けてみることをお勧めいたします。
自己破産で財産隠しや通帳隠しをすることは、あまりにリスクが大きいですし、場合によっては処分の対象にならない可能性もあるので、正直に申告されることをオススメいたします。