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自己破産 市営住宅
自己破産をすると、条件によっては、住んでいる家を追い出されるリスクが発生します。

特に、市営住宅に住んでいる人だと、せっかく安い家に住むことができているので、自己破産をすることによって、追い出されてしまうのであれば、自己破産をする意味がかなりなくなってしまいますよね。

そこで、今回は、自己破産と市営住宅も含めた賃貸との関係、また偏頗弁済の観点も含めて解説をしていきます。

この記事を書いた人

 

借金問題専門家 タケシ

以前、325万円の借金を任意整理を行なって完済した体験を持つ借金問題の専門ライターです。
借金問題や債務整理に関するコンテンツは、既に1,500記事以上、執筆しています。

自己破産をすると市営住宅を追い出される?

自己破産をする人の中には、市営住宅や県営住宅など公営住宅に住んでいる方も多いかと思います。

ですから、まずは市営住宅の方に絞ってお話をしていきます。

原則的には市営住宅を追い出されない理由


結論から申し上げると、自己破産をすることによって市営住宅を追い出されることは、原則としてありません

そもそも、公営住宅法第1条では、市営住宅を含む公営住宅について以下のように定義されています。

国と地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするもの。

つまり、経済的に厳しい人達を守ることが、市営住宅の第一の目的であるので、自己破産をしたからといって、追い出すという話になったら、市営住宅の根本的な理念を揺るがしかねません。

ですから、基本的には自己破産をした後も、市営住宅には住み続けることができます。

また、自己破産をすると、周りの人達にバレてしまうと考える方も多いかもしれません。

しかし、弁護士は守秘義務を守ってくれるので、近所の人達にバレないように配慮しながら手続きを行ってくれます。

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自己破産をした後で市営住宅に住むことも可能

逆に、今まで、市営住宅に住んでいなかった人が自己破産をした後、市営住宅に住むことができるかと気になる方もいらっしゃるかと思います。

この点に関しても、自己破産を行ったことで、市営住宅に申請する資格を失うことはありません

市営住宅の抽選は、あくまでも、収入がない(大体、月収が15.8万円以下)という条件を満たしている方の中で行われるからです。

もちろん、自己破産をしたからといって、市営住宅に優先的に住みやすくなるという訳ではないので、その点は、事前にご理解下さい。

滞納をすると追い出されるリスクが発生


話を、現在、市営住宅に住んでいる場合の可能性に戻します。

自己破産をしても、市営住宅を追い出されることは原則として、ありませんが、もし、市営住宅の家賃を滞納している場合は、話が異なって来ます。

なぜなら、滞納した家賃は、自己破産をした際に免責の対象となり、それを理由に退去を命じられる可能性が高くなるからです。

例えば、市営住宅の家賃滞納分が利息も含めて300万円ある方に対して、弁護士の方は以下のような見解を出しています。

家賃について破産して支払を免れることはできますが、家賃滞納の事実は消えないので、契約解除、退去させられます。

ですから、市営住宅の家賃を滞納している方は、自己破産を本当にすべきかどうか、慎重に検討する必要があるのです。

自己破産と家賃の滞納について

家賃を滞納しているかどうかという点は、一般の賃貸でも自己破産をする際に重要なポイントなって来ます。

そこで、自己破産をする際に、家賃の滞納があるかないかによって、対応がどう変わるか、法律の観点から、解説をしていきます。

家賃を滞納をしていない場合


もし、家賃を滞納していない場合は、破産をしても、賃貸契約を解除されて家を追い出されることはありません

実は、以前は民法第621条で、賃借人が破産をした場合、賃貸人(大家さんなど)は賃貸契約の解除を申し入れることができると決められていました。

しかし、平成16年(2004年)の改正で、この第621条は削除されたため、家賃を滞納していない場合は、破産したことを理由に、賃貸契約を解除することはできなくなっています。

家賃を滞納をしている場合


その一方で、家賃を滞納している場合、これは非免責債権ではなく破産債権となるので、必ず自己破産の対象にしなければなりません。

自己破産を行なうと家賃の滞納分は免責となりますが、その代わり、賃貸人は、賃貸契約を解除することができます

この場合でも、破産法55条で、破産をして賃貸人は賃貸契約の解除することはできないのではという意見もあります。

破産法55条

第1項 破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は,破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由としては,破産手続開始後は,その義務の履行を拒むことができない。

しかし、賃貸契約は、この条文における継続的給付の義務を負う双務契約には該当しないというのが一般的な見方となっています。

ただ、強制退去をさせるといっても、最終的に強制執行という形で立ち退きとなるまでには2ヶ月以上掛かるので、その間に新しい家を探せる可能性は高いでしょう。

また、弁護士によっては、家賃は生活に必要なものなので滞納をしていても、債権者として申告をしなくても大丈夫だから、家賃の滞納分はそのままにして、住み続けることができるという人もいます。

(もちろん、滞納の期間が長いと、それが原因で立ち退きを命じられる可能性もあります)

ここら辺は、その時の状況によっても対応が分かるれるところなので、事前に弁護士に相談するようにして下さい。

保証人や連帯保証人に迷惑が掛かる


自己破産をする際に家賃滞納があると、もう一つ気を付けなければならないことは、保証人(連帯保証人)の問題です。

滞納分を免責の対象にしたら、賃借人は支払いを免れることができます。

しかし賃貸契約をする際に、保証人にや連帯保証にを立てている場合、保証人や連帯保証人がその滞納分を全額支払う義務が発生してしまいます。

しかも支払いは、原則一括払いを要求されてしまいます。

(交渉によって分割返済が認められる場合もあります)

ですから、保証人や連帯保証人を立てている場合は、必ず事前に相談をしておくようにして下さい。

直前に家賃滞納分を払ったら偏頗弁済!?


このように基本的には、市営住宅でも、一般の賃貸でも、家賃の滞納分を自己破産の対象にすると賃貸契約が解除されるリスクが発生します。

また、同時に保証人にも迷惑が掛かってしまいます。

ですから、事前に家賃の滞納分は解消しておいた方が良いという話になりますよね。

ただ、滞納している家賃の額が大きいと偏頗弁済(自己破産の直前に特定の債権者に偏って返済すること)と見なされる可能性があるので注意しなければなりません。

裁判所から偏頗弁済だと見なされると、免責不許可事由に該当し、余計な時間とお金が掛かってしまうからです。

もし、滞納分の額が少なければ(1~2ヶ月分程度)、生活に必要な支出だということで裁判所から支払いが認められる場合もあります。

しかし、判断が難しい時もあるので、これも弁護士によく相談してから決めるようにして下さい。

もし、偏頗弁済と見なされ、滞納分の支払いが難しい場合は、家賃の滞納分はそのまま自己破産の免責対象とし、新しく借りる家を探す方が良いという話になるかもしれません。

自己破産後の賃貸契約について


家賃の滞納分を免責してもらうと、新たに別の家を探して、賃貸契約をする必要がありますよね。

自己破産を行うと、ブラックリスト状態になりますが、賃貸契約には、影響が出ることは基本的にはないので、その点では、特に心配することはありません。

ただ、一つ、気を付けなければならないのは家賃保証会社を利用する場合です。

家賃保証会社はいろいろな種類がありますが、信販系の会社の場合は、審査の段階で信用情報機関の情報を照会されます。

自己破産をすると約5年~10年間、信用情報機関に事故情報が登録されてしまうので、そこで審査に落ちてしまう可能性が高くなります。

ですから、新しく賃貸契約をする場合は、信販系ではない家賃保証会社を選ぶか、身内の人に連帯保証人をお願いするという選択肢から選んで下さい。

自己破産以外の方法も考えてみる

市営住宅であれ、一般の賃貸であれ、自己破産を行っても、原則として、家を追い出せることはありません。

ただ、自己破産をする際に家賃の滞納分が残っていると対処法を間違えたら、最悪の場合、家を追い出される可能性があります。

ですから、その場合は、いくつかの選択肢がありますが、自己破産以外の債務整理の手続きで、借金問題を解決できないか検討してみるのも良いでしょう。

例えば、任意整理であれば、整理する対象の借金を選べるので、家賃の滞納があっても、そのまま払い続けながら、それ以外の借金の負担を減らすことによって、問題を解決できるかもしれません。

実際に、自己破産以外の方法で借金問題を解決できるかは、以下の方法で簡単に診断してもらうことができます。

>>借金をどれだけ減らせるか調べてみる【所要時間1~2分】

もし、債務整理の手続きを行なう場合、借金の返済額をうまく減らすことができれば、自己破産ではなく任意整理の手続きを行なうことによって、もっと安全な形で借金問題を解決することができます。

takeshi1

自己破産を検討している段階で家賃の滞納分がある場合は、その時の状況によって対処法が変わって来ますので、必ず弁護士に相談するようにして下さい。