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自己破産 甘くない

借金の金額が増えてしまっている人の中には、「どうせお金を返せなくなったら自己破産をしてチャラにしたら良いんじゃない?」と安易に考える方がいらっしゃいます。もちろん、自己破産という手続きでは原則としてすべての借金が免責されるので、本当に借金で苦しんでいる人にとっては、とても有効な救済措置だと言えます。

しかし、だからといって自己破産のことを安易に考えてはいけません。なんだかんだ言って、自己破産は甘くないものだからです。実際、そういう声を聞くこともチラホラあるかもしれません。ただ具体的にどういった理由で、そのようなことが言えるのでしょうか。

そこで、この記事では自己破産は甘くないと言える理由についてお伝えしていくと共に、では借金問題はどうやって解決したら良いのかという点についても詳しく解説していきます。

この記事を書いた人

 

借金問題専門家 タケシ

以前、325万円の借金を任意整理を行なって完済した体験を持つ借金問題の専門ライターです。
借金問題や債務整理に関するコンテンツは、既に1,500記事以上、執筆しています。

自己破産は甘くないと言える7つの理由

まず、自己破産は甘くないと言える理由について以下の7つの観点が挙げられます。

  • 債務の支払いが可能であれば自己破産はできない
  • 費用は数十万円かかる
  • 税金の滞納分は免責されない
  • 20万円を超える財産はすべて差し押さえ
  • 免責不許可事由に引っかかる場合も
  • ブラックリスト状態が5年~10年続く
  • 社会的信用を失う恐怖

それでは一つずつ具体的にどういうことなのか詳しくお伝えしていきますね。

債務の支払いが可能であれば自己破産はできない


自己破産は借金がある人であれば誰でも気軽にできるものだと思っている人がいるかもしれません。しかし、実際のところ自己破産は、そんなに簡単にできるほど甘くはありません。なぜなら、自己破産の手続きを行なうには、裁判所から支払不能であることを認められなければならないからです。

支払不能がどういった状態であるかは破産法第2条第11項に記載されていますが簡単に言えば以下の3点になります。

  • 支払能力を欠いている
  • 弁済期にある債務を弁済できない
  • 一般的かつ継続的に弁済することができない状態にある

このことが客観的に証明されなければ、自己破産の手続きを行なうことはできないのです。

費用は数十万円かかる


もし、支払不能の状態になっていて、いざ、自己破産の手続きを行なおうとしても、費用がどれくらいかかるかは把握しておく必要がありますよね。実は、自己破産の手続きを行なおうとした場合、弁護士費用だけでも30~50万円ぐらいかかります。さらにもし、同時廃止事件ではなく管財事件になった場合は、裁判所に20~40予納金をプラスで支払わなければなりません。

「えっ、自己破産をする人からそんなにお金を取るの?」と思う人がいるかもしれません。ただ、借金が数百万円ぐらいある人にとっては、数十万円程度のお金を払うことによってすべての借金が免責となるのですから、利益は相当大きいと言えますよね。しかし、その一方で、100万円ちょっとぐらいの借金で自己破産をしようとするのは、やめておいた方が良いでしょう。

税金の滞納分は免責されない

自己破産をすれが原則としてすべての借金が免責されるというのは事実です。しかし、それはあくまでも「原則として」ということで、中には自己破産をしても免責されない債権があります。そういった債権のことを非免責債権と呼んでいて、具体的には破産法253条の中で明記されています。

特にその中で代表的なものが、破産法253条1項1号で定められている租税等の請求権です。つまり税金ですね。そのため、もし、税金の支払ができずに滞納していた人が自己破産をしても、税金の滞納分は免責がされないので、その分に関しては、支払いを続けなければならないのです。ここら辺は容赦がない世界です。

20万円を超える財産はすべて差し押さえ


自己破産をすると借金は免責されますが、その代わり、99万円を超える現金と20万円を超える資産は手放さなければならなくなります。つまり、車や高額の家電製品、あるいは株券や貯金なども20万円を超えれば差し押さえの対象になってしまうのです。

何よりも一番キツイのは、マイホームを購入してローンの返済中である人かもしれません。それまで汗水たらして必死に働いてやっと手に入れたマイホームを手放すことになるというのは、ある意味、本当に残酷なことだと思いますので。

自己破産をすれば借金の重荷から解放されて晴れ晴れとした気持ちになるかもしれませんが、財産をいろいろ持っている人は、その多くを失うという現実を突きつけられることになりかねないので、そういった観点からも自己破産は決して甘くはないのです。

免責不許可事由に引っかかる場合も

自己破産の手続きをすれば、無条件で免責がされると思っている人がいるかもしれませんが、決してそんなに甘くはありません。免責をしてもらえるかどうかは、裁判所で審議をした結果、決まりますが、もし、免責不許可事由に引っかかった場合は、免責を受けられなくなる可能性が出てきます。

例えば、ギャンブルや浪費が原因で借金ができてしまった方は免責不許可事由に引っかかりやすくなります。また自己破産をする前に「どうせ返せなくなるからいいや」と思いながら、借金をしていた人は、免責不許可事由に引っかかるどころか、詐欺罪が適用されてしまう場合もあります。

一応、免責不許可事由に引っかかったとしても、最終的には裁量免責という形で免責を受けられるケースは多いです。しかし、免責不許可事由になれば管財事件となって、予納金を支払わなければならなくなって、出費がさらに嵩むことになります。

ブラックリスト状態が5年~10年続く


自己破産の手続きを行なうと、信用情報機関に事故情報が登録されて、そこから5年~10年の間、いわゆるブラックリストの状態になります。そのため、その期間中は、新たな借り入れができなってしまいます。私たちの生活は社会的信用によって成り立っている部分が非常に多いので、ブラックリスト状態になると、様々な形で不便な生活を強いられます。

まず、家のローンや車のローンなどは申し込んでも、ブラックリストの期間中であれば、審査に通ることは、まず難しくなってしまいます。また、そういった大きな買い物は、ブラックリストの期間が過ぎるの待てば良いですが、普段、よく使うクレジットカードも使えなくなってしまうのは、人によってはキツイかもしれません。一応、デビットカードを使うという方法もありますが、基本的には現金オンリーの生活を強いられます。

さらにはスマホの分割払いもできなくなったりするなど、簡単に言えば、自分の名義では何もできなくなってしまうのです。そのような状態を信用情報が回復する5年~10年の間、ジッと耐え忍ばなければなりません。

社会的信用を失う恐怖


自己破産後、ブラックリスト状態になったりすると、不便な気持ちを感じるのはもちろんのことですが、社会的信用を失うことの辛さをヒシヒシと感じる方も多いです。社会的に阻害されている孤独感を味わう方もいらっしゃるでしょう。

もちろん、人によっては、そういった状態を気にしないというケースもありますが、気にする人は気にしてしまいますし、不安で惨めな気持ちを感じたりしてしまうものです。実際、自己破産をした人たちが、どういった末路を辿っているのかは以下の記事でも詳しく紹介しています。

>>自己破産した人の末路は?リアルな体験談をご紹介

自己破産が甘くないと分かったらどうする?

このような話を聞くと「自己破産は甘くはないことが分かった。じゃあ、どうすれば良い?」という話に当然なってくるかと思います。もちろん、今の借金を自力でがんばって返すことができるのであれば、そうすることに越したことはありません。

しかし、中には、自力での返済が難しくなっている方も当然いらっしゃるはずです。そこで、もし自己破産以外の方法で借金問題を解決した場合は、以下の2つの手続きがあります。

  • 個人再生:裁判所に申し立てをして債務を5分の1ぐらいに減額した後、原則として3年で分割返済をしていく手続き
  • 任意整理:裁判所を通さず、債権者と任意の交渉を行なって、将来利息をカットしした上で残債を3年~5年で分割返済していけるよう和解する手続き

では、具体的に自己破産に比べると、どんなメリットがあるのかという内容を中心としてお伝えしていきます。

個人再生の手続きを行なう

個人再生は裁判所に申し立てをして債務を5分の1ぐらいに減額した後、原則として3年で返済をしていく手続きです。債務の支払が可能だから自己破産はできないという方も個人再生であれば、できるケースは多いです。

また、自己破産であれば、住宅ローンが残っている場合、住宅を手放さなければならなくなってしまいますが、個人再生であれば、住宅ローンの返済を続けながら、それ以外の借金を減額することも可能です。

さらに、自己破産では、借金の理由を厳しく問われますが、個人再生では、そのようなことがないのもメリットの一つです。

>>個人再生に強いおすすめ弁護士事務所

任意整理の手続きを行なう

ただ、個人再生の手続きも自己破産と同様に数十万円ぐらいの費用が掛かりますし、裁判所を通さなければならない面倒さもあります。その点、任意整理であれば、費用は債権者一件あたり2~3万円ぐらいで済ませることもできますし、裁判所を通さずに手続き行うことができるというメリットもあります。

任意整理では、借金の理由も問われませんし、さらに住宅ローンだけでなく、奨学金など債務整理の対象にすると連帯保証人に迷惑が掛かってしまいそうな借金を整理の対象から外すことも可能です。

任意整理は自己破産と違って借金そのものが減額されることはほとんどありません。ただ、将来利息がカットされることによって総支払額を大幅に減らすことは可能なので、実際のところは、自己破産よりも任意整理で借金問題を解決する人の方が遥かに多いというのが実情です。

>>任意整理に強いおすすめの事務所

それでも自己破産をした方が良い場合も

自己破産は甘くないことは事実です。しかし、本当に借金問題で苦しんでいて、何とか今の現状を打破したい人にとっては、自己破産をした方が良いケースもあります。実際、この記事では自己破産は甘くはない理由をいろいろ書いてきましたが、その人の条件によっとは、以下のようにほとんど問題にならないケースも出てくるからです。

  • 本当に借金が返せないのであれば、自己破産の手続きは認めてもらえるでしょう。
  • 借金が数百万円ぐらいあるのであれば、自己破産の費用は数十万円ぐらい掛かってもまったく問題はないでしょう。
  • 税金の滞納分など非免責債権が元々ない人は、すべての借金が問題なく免責されるでしょう。
  • 元々財産をほとんど持っていない人は、財産を手放すリスクがありません。
  • 免責不許可事由にひっかかる要素がなければスムーズに手続きができます。
  • 元々借金を滞納している人はすでにブラックリスト状態になっているので自己破産をしてもさほど影響はありません。
  • 社会的信用を失うことの不安より借金がなくなることの喜びの方が大きければ問題はありません。

また、自己破産に関しては、自己破産の手続きを得意としてる事務所に依頼をすれば、よりスムーズに進めていくことができるので、以下の記事でご紹介しているところにも気軽に相談してみてください。

>>自己破産に強いおすすめ弁護士事務所

まとめ

自己破産の手続きは、ある意味、誤解がされやすいところがあるかもしれません。自己破産をすると人生終わりだという人もいますが、そこまで悲惨な状況に追い込まれるわけではありません。しかし、だからといって「借金しても、どうせ自己破産をすれば良いんじゃないの。」と甘く見てしまうと痛い目に遭ってしまうことがあります。

また自己破産をする人に対してはずると思う人がいたりしますが、自己破産のデメリットを考えれば、決してずるいとも言えないのです。

>>自己破産はずるいと言えない4つの理由!それでも申し訳ないと感じる時は?

ただ、本来、自己破産は、どんなにがんばっても借金の返済ができない人を救済するために利用できる手続きです。ですから、そのような自己破産の趣旨をよく理解した上で、具体的にどうしていくべきか決めていくと良いでしょう。

takeshi1

自己破産は甘くはないですが、状況によってはやった方が良い手続きなので、どういった方法が最善なのか、弁護士などに相談しながら決めていかれることをおすすめいたします。