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借金の返済が苦しいと、仕事をやめて退職金をもらい、それで借金返済に充てようか考える方がいらっしゃいます。
しかし、その方法だと、かなり損をしてしまう可能性が高いです。
ここでは、その理由と、もっと良い方法についてお伝えしていきます。
目次
退職金で借金返済をおすすめしない理由
借金が想定外に膨らんでしまうと、退職金で一気に借金返済をして楽になりたいという方がいらっしゃいます。
しかし、それは以下の理由からオススメすることはできません。
自己都合だと退職金は満額支給されない
会社としては、社員が、自ら辞表を出して辞めてしまうと、次の人を探さなければなりませんし、また引継ぎの業務も行わなければならず、かなりの手間が発生します。
ですから、社員の人達が、あまり気軽に会社を辞めることがないよう、一般的に自己都合による退職の場合は、会社都合の場合に比べて、退職金の額がかなり減額されます。
エン転職では、自己都合退職の場合の退職金の相場を会社都合の場合と比べていますが、大体、10~40%減額されてしまうことが分かります。
基本的に勤続年数が短くなればなるほど、自己都合での退職金の減額率は高くなり、勤続年数がある一定期間未満だと、退職金なしというケースも多いので、注意が必要です。
退職金自体が減っている
退職金が満額もらえないのも問題ですが、それ以前に退職金を巡る状況自体が段々、厳しくなっているという話もありあす
厚生労働省では、退職金制度の状況について、5年に1度、調査を行っていますが、調査をする度に、退職金は減少傾向にあります。
例えば、大卒者の退職金は、
- 2003年:2,499万円
- 2008年:2,280万円
- 2013年:1,941万円
- 2018年:1,788万円
と確実に減少している傾向にあります。
さらに、そこへ、コロナが追い打ちをかけるようにして、退職金が減る傾向は加速しています。
ですから、そもそも、借金返済がしっかりできるほど、退職金をもらえるかという問題があるのです。
転職すると給料が下がる場合も
退職金をもらうためには、一度、仕事をやめなければなりません。
そして、当然のことながら、生活をしていくために、転職をする必要があります。
ただ、転職をすると、給料が下がるリスクが当然でてきます。
厚生労働省が発表した平成30年雇用動向調査によると、転職後の賃金の変化は以下のようになっています。
- 1割以上の増加:25.7%
- 1割未満の増加:11.3%
- 変わらない:27.2%
- 1割未満の減少:7.6%
- 1割以上の減少:26.6%
この表だけを見ると、給料が増えている人の方が若干、多いのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。
ただ、内訳をみると、給料が増える割合を押し上げているのは、若年層の方で、年齢が上がれば上がるほど、賃金は下がる傾向は強くなります。
つまり、退職金で借金返済をしたまでは良いけれども、その後、給料が下がって、生活状況はさらに悪化するリスクが発生するのです。
老後のリスクが高まる
退職金は、年金で足らない分を補うような役割を持っており、老後の資金として、重要な位置付けがされています。
老後になると、大半の方は、収入が下がりますが、そこで、退職金は、大きな安心を与えてくれるという訳です。
しかし、そういった退職金を、借金返済に充ててしまうと、金銭的な余裕がなくなって、精神的にも苦しくなってしまいます。
実際、夫が退職金を借金返済に回してしまって、貯金がない状態になってしまい離婚を真剣に考えている方もいらっしゃいます。
ですから、退職金を、下手に借金返済に充てることは、極力避けた方が良いのです。
債務整理で解決する方法
借金が膨らんで、精神的に追い詰められてしまうと、「もう退職金に頼るしか」と思ってしまうかもしれませんが、探せば、他にも選択肢はいろいろでてきます。
その一つが、借金を債務整理の手続きで、合法的に負担を減らしてしまうというやり方です。
まず、借金問題を債務整理で解決した後、退職金をもらい、その大半を貯金、そして老後の資金に回す方が、遥かに効率が良いと言えます。
債務整理は、大きく分けて3種類の手続きがあります。
- 任意整理:将来的に掛かる利息をカットして、残債を3年~5年で分割返済
- 個人再生:住宅ローン以外の借金を約5分の1に減額
- 自己破産:原則として、すべての借金を免責にしてもらう
そして、どの手続きが、あなたに合っているかは、以下の方法を使えば簡単に調べることができます。
債務整理が退職金に与える影響
ただ、債務整理をすると、タイミングによっては、退職金に影響が出てしまいます。
一番、影響を受けやすいのは、やはり自己破産です。
自己破産を行うと、退職金見込額証明書を勤務先から入手し、その額に対して、以下のような処理がされていきます。
- 退職が間近な場合:退職金見込額の4分の1が処分の対象
- 退職がまだ先の場合:退職金見込額の8分の1が処分の対象
(ただし、20万円以下であれば自由財産と見なされ処分されない)
一方、個人再生の場合でも、退職金見込額証明書を勤務先から入手するという点では自己破産と同じですが、その後の処理は以下のようになります。
- 退職が間近な場合:退職金見込額の4分の1が清算価値に追加される
- 退職がまだ先の場合:退職金見込額の8分の1が清算価値に追加される
もし、借金が減額されて算出された弁済額よりも清算価値の方が大きい場合は、弁済額を清算価値に合わせる必要が出てきます。
任意整理であれば退職金に影響なし
個人再生や自己破産の場合、退職金見込額証明書を会社に請求しなければならず、そこで、債務整理をすることがバレてしまうリスクもあります。
もちろん、退職金見込額証明書は、住宅ローンなど、他の用途でも使う可能性がある書類なので、うまく誤魔化そうと思えば、できないことはありませんが、それでもやはり神経を使いますよね。
ただ、任意整理に関しては、裁判所を通さずに、弁護士や司法書士が債権者と任意の交渉をして、和解する手続きなので、退職金への影響は一切ありません。
もちろん、退職金見込額証明書も必要ないので、会社に内緒で債務整理をしたい方は、まず、任意整理で解決ができないか検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
借金問題で苦しむ方は、退職金で一気に返済をして、気持ち的に楽になりたいと思ってしまう気持ちがあるかもしれません。
しかし、無理をして、退職金をもらおうとすると、予想以上に退職金が少なくなっているケースもありますし、転職後、一気に給料が下がってしまうリスクもあります。
何よりも、老後の資金に与える影響は、非常に大きいので、退職金は、極力、借金返済に回さないことをお勧めいたします。
それよりも、退職金をもらう前に、債務整理を行って、借金問題を解決してしまい、退職金は大半を貯金に充てるのが、ある意味、理想だと言えます。
債務整理は、やり方にちょって、退職金に影響を与えてしまう場合があるので、債務整理に強い専門家に相談しながら、ベストな選択肢を見つけていってください。