給料が差し押さえられると会社にどこまで迷惑が掛かってしまうのでしょうか?
実際、会社に勤めている方によって、一番気になるのは、その観点ではないでしょうか。
そこで、ここでは、給料が差し押さえになった場合、会社にどこまで迷惑が掛かり、どういう影響が出てしまうのかという点について解説をしていきます。
目次
給料が差し押さえられると会社にバレる?
まず、そもそも給料が差し押さえにあうと、会社にバレるのでしょうか?
経理担当者には必ずバる
もし、給料が差し押さえの対象となった場合、最低でも経理担当者には必ずバレます。
なぜなら、経理担当者は、差し押さえられた給料の一部を債権者に振り込む手続きをする立場にあるからです。
これは、どんなに回避しようと思っても、不可能な部分です。
上司にもバレる可能性は高い
もし、債務者である社員のプライバシーをしっかり守ってくれる経理の人であれば、そこで留まることもあるかもしれません。
しかし、一般的には、あなたの上司に対して、差し押さえの件が伝えられる可能性は高いでしょう。
特に、上司は、部下の状況を把握すべきだと会社側が判断した時は、上司にも、その状況が伝えられることになるかと思います。
ここら辺は、会社の判断や経理や上司の考え方によって変わりますが、会社のいろいろな人達にバレる覚悟だけはしておくことをお勧めします。
給料が差し押さえられるとどんな迷惑が掛かる?
では、給料が差し押さえられると、会社にはどんな迷惑が掛かるのでしょうか?
裁判所に書類を提出する手間が掛かる
あなたの給料が差し押さえることになった場合、会社に裁判所から特別送達という形で、
- 債権者差押え申立書
- 陳述催告の申立書
などが届きます。
陳述催告とは、正式には「第三債務者に対する陳述催告」というものです。
第三債務者とは、債務者に対して更に債務を負う立場の人を指し、ここでは会社です。
そして第三債務者である会社は、裁判所に対して、差押え命令が送達されてから、2週間以内に、陳述報告をしなければなりません。
そこでは、
- 債務者(あなた)を現在、雇用しているかの確認
- これから債務者に支払う予定の給料の額
- 現在の支給額
- 差押えられた金額を債権者に対して直接支払うか、あるいは供託するかの確認
などを記載する必要ががあります。
そこで嘘を書いたりしたら、会社側が損害賠償義務を負わなければなりません。
会社側にとっても、慣れない手続きとなるのは間違いないことなので、そこで迷惑が掛かってしまいます。
給料から差し押さえ分を処理する手間が掛かる
給料が差し押さえられると、給料の手取り額の4分の1まで(4分の3が33万円をこえた場合は超えた分の全額)が差し押さえの対象となります。
ですから、会社側は、差し押さえの対象となる給料の一部を債権者に振り込み、残りを債務者に支払うという手間が発生します。
給料が、24万円であれば、その4分の1である6万円を債権者に対して支払う計算になりますね。
本来であれば、あなたの口座への一度の振込で良いはずが二度手間になるので、厳密に言えば、迷惑が掛かります。
会社にバレてもクビにならないけれども
給料を差し押さえられると会社をクビになるのではないかと心配する方もいらっしゃいますが実際はどうなのでしょうか?
会社をクビになることはない
まず、給料を差し押さえられて、たとえ会社に迷惑が掛かったとしても、会社をクビになることはありません。
借金問題はあくまでも本人の問題であり、また、会社側は、手間が増えて迷惑が掛かったとしても、あくまでも法律上の手続きを行っただけであり、企業秩序に反した訳ではありません。
たとえ、会社側が、差し押さえを理由に解雇したとしても、労働契約法の第15条、第16条の規定に基づき、無効とすることが出来ます。
昇進・昇給の可能性が下がる
しかし、だからといって、会社の中での影響がないかといえば、決してそういう訳ではありません。
なぜなら、あなたの給料が差し押さえられたら、会社からのあなたに対する信頼度は確実に下がるからです。
そうなった場合、今後、あなたが昇進、または昇給するのは、どうしても難しくなってしまうでしょう。
会社に迷惑を掛けないための対策
滞納金をすぐに払う
まず、一番手っ取り早いのは、借金を滞納している場合は、全額を手っ取り早く払ってしまうことです。
特に、もし、滞納している金額がそれほど多くないのであれば、それだけで会社からの信頼を失ってしまうことはあまりにもったいない話です
ですから、払えるのであれば、すぐに払ってしまうことをお勧めします。
債権者と交渉する
債権者が裁判所を通じて、差し押さえを行うということは債権者にとっては最後の手段であり、よっぽど悪質なケースだと判断されている可能性が高いです。
差押えは、債務者に対して、支払い督促が送られ、次に、仮執行宣言の申立てを行った上で、行われますが、そこで債務者が、無視をしないで、異議申し立てを行うなどして債権者と交渉をすれば、差し押さえ以外の解決策も見えてくるものです。
確かに債権者にこちらから連絡をするのは、怖いことかもしれませんが、無視をすれば、状況はどんどん悪化していくので、早めに連絡して話してみることも大切なことです。
債務整理をする
しかし、多くの人達は、滞納しているお金を払える状態にないので、払えないケースも多いかと思います。
その場合は、債務整理を行って、月々の返済額や借金自体を減らすことによって、差し押さえの状況を回避することが可能です。
もし、既に滞納の期間が続いて、一括返済を要求されている場合でも任意整理を行えば、分割払いに再度、応じてもらったり、将来利息をカットすることによって、月々の返済額を減らしたりすることも可能です。
或いは、個人再生を行えば、裁判所を通じた手続きとなりますが、会社に知られないように借金を約5分の1に減額することが出来ます。
さらに支払い能力によっては、自己破産によって、借金をすべて免責にしてもらうことも可能です。
実際にどの手続きが良いかは以下の方法で簡単にチェックすることが可能でです。
>>借金をどれだけ減らせる可能性があるか調べてみる【所要時間1~2分】
ただし、税金を滞納している場合、債務整理では、対応が出来ないので、税金に関しては、役所の担当窓口へ行って、猶予や分納をしてもらえないか相談する必要があります。
転職をするという選択肢は?
もし、会社に迷惑が掛かった場合、会社をクビになることはありませんが、会社に居づらくなって、転職を考える人もいるかもしれません。
ただ、転職をしても、債権者があなたの転職先を突き止めれば、新しい会社でも給料を差し押さえられる可能性があるのでご注意下さい。
まとめ
給料を差し押さえられると、まず会社の経理にはバレますし、上司にバレる可能性も高いでしょう。
さらに、会社側は、裁判所へ陳述書を提出したり、給料の中で、差し押さえの対象となる分を債権者に支払うなどの手間が発生します。
会社に対して、甚大な迷惑が掛かるという訳ではありませんが、面倒な業務が発生するという意味で、多少の迷惑は掛かります。
だからといって、会社をクビになることはありませんが、それでも会社からの信頼を失い、昇給や昇進の可能性が下がってしまうリスクが発生するでしょう。

ですから、給料の差し押さえを回避するために、出来るだけ早く滞納分を支払うか、債務整理によって借金自体を整理されることをお勧めします。