※この記事にはプロモーションが含まれています。
任意整理を行なう際、途中で一括返済や繰り上げ返済を希望する人が時々いらっしゃいます。
任意整理では分割払いが基本ではありますが、それよりは一括返返済や繰り上げ返済をして、借金から早く解放されたいと思うのは、ある意味自然なのかもしれません。
また、一括返済には、最初の交渉段階で行なう場合と、任意整理後の返済中に行なう場合とでメリットやデメリットが変わってきますので、その点も含めて解説をしていきます。
目次
一括返済をする二つのパターン
任意整理で一括返済をするといっても、厳密には二つのパターンがあります。
最初の段階で残金を一括返済して減額する
まず一つ目のパターンは、任意整理で引き直し計算を行ない、最終的な返済額が確定した段階で残金を一括返済するというやり方です。
通常、任意整理では払い過ぎた利息が発生していない場合、分割払いにすると、将来的な利息はカットされても元金は減らないケースが多いです。
しかし、残金を一括返済するという形であれば、元金を1~3割減額してもらえる可能性が高くなります。
債権者から見た一括返済による減額のメリット
一括返済で元本を減額するには、一見、債権者にとってはデメリットの方が大きいように見えます。
ただ、債権者(貸金業者)の立場から見ると、分割返済であれば、途中で債務者が借金の返済がきつくなり、返済不能になるリスクがあります。
しかし、一括返済であれば、確実にお金を回収できるというメリットがあります。
さらに、多少、元金を減額しても、早めに回収したお金をまた他の人に貸せば、そこで利益を得ることも十分可能となります。
ですから、もし、家族や親戚がサポートしてくれて、一括返済に協力してくれるのであれば、そういったやり方もアリだと言えます。
一括返済による減額は厳しくなっている!?
ただし、最近(2018年時点)は、一括返済による減額交渉に応じない貸金業者も増えているという話もあります。
ましてや、弁護士や司法書士など専門家を通さずに十分な知識がない立場で、貸金業者と交渉をすることは簡単ではありませんし、不利な条件を呑まされる可能性が非常に高いです。
ですから、任意整理で一括返済による減額を検討される方は、必ず法律の専門家に相談されることをお勧めいたします。
和解後の返済中の一括返済(繰り上げ返済)する
もう一つのパターンは、任意整理で和解を行なって、分割返済を行なっている途中で、残金を一括返済したり、繰り上げ返済したりするというやり方です。
この場合も、債権者が同意すれば基本的に問題はありません。
ただし、債権者が複数ある場合は、債権者平等原則という観点から、一括返済する場合は、すべての貸金業者に対して一律に返済しなければなりません。
ですから、任意整理後の一括返済や繰り上げ返済を行なう場合は、必ず担当の弁護士や司法書士に相談しながら手続きを進めて下さい。
また、一括返済をすれば、借金を完済したという解放感を味わえるでしょう。
しかし、少し厳しい見方をすれば、こういった一括返済で得られるメリットは気持ち的なものだけだということもできます。
任意整理後の一括返済や繰り上げ返済のデメリット
任意整理後に一括返済や繰り上げ返済をすると、以下のようなデメリットがあるので、気を付けるようにして下さい。
期限の利益を放棄することになる
任意整理で和解をすると、基本的には3~5年の期間で分割返済しても大丈夫だという期限の利益を得るようになります。
つまり債務者は時間的な猶予をもらえるので、その期間に生活を立て直しやすくなります。
ちなみに、通常の借り入れのように金利が何%かついていれば、一括返済や繰り上げ返済をすれば、本来はそれ以降、払うはずだった利息の分だけ得をするようになります。
しかし、任意整理では将来利息がカットされます。
もし、最初の段階で一括返済するのであれば、元金を減らしてもらえやすいので、返済額が減るというメリットがあります。
しかし、返済中に一括返済や繰り上げ返済をしても、最終的な返済額はまったく変わりません。
それどころか、期限の利益を自ら放棄するので、実は損をしていることになるのです。
信用情報から事故情報がすぐ消える訳ではない
任意整理後、約5年間は信用情報機関に情報が登録されて、いわゆるブラックリストの状態となります。
一応、任意整理前に滞納をしていた人は、任意整理後の返済で完済してから5年以内の範囲で事故情報が残ってしまうので、一括返済した方が信用情報は早く回復するというメリットがあります。
ただ、滞納をしていなかった人は、任意整理後に残金を一括返済や繰り上げ返済をしても、信用情報機関に事故情報が残る(ブラックリストに載る)期間が短くなるワケではありません。
参考記事:任意整理ではいつから5年間信用情報機関に登録される?
最悪は闇金に走ってしまうケースも
信用情報機関に事故情報が残っている間は、ローンを組むなど、新たな借金をしたり、クレジットカードを作ったりすることが原則としてできません。
ですから、一括返済や繰り上げ返済をした後に、病気やリストラなどで収入が激減したり、急な出費が発生したりして、お金が足らなくなってしまうと、大きなピンチを迎えてしまうことになります。
どこからも借金ができず、闇金に走ってしまうケースもあり得ます。
そういった意味で任意整理をした後、残金を一括返済したり、繰り上げ返済したりするのはかなりリスクがあると言えるのです。
一括返済は最初の段階では元金を減らせるというメリットがありますが、分割返済が始まった後の一括返済は原則として気持ちの面でのメリットしかないので、極力一括返済しないことをオススメいたします。