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借金の滞納を続けていると、裁判所から”債権差押命令”が届くことがあります。
この時点で既に差し押さえの処分は確定しているので、無視しても確実に預金や給与が差し押さえられてしまいます。
また、差し押さえをされる前に処分行為を行っても、その効力は無効となってしまいます。
では、こういった時は、具体的にどういった対処をしていけば良いのでしょうか?
目次
債権差押命令の流れ
債権者が債権差押の申立てを裁判所に行なうと、裁判所から、債務者であるあなたと第三債務者に対して、債権差押命令正本が送付されます。
ここでの第三債務者とは、あなたが働いている会社や預金がある銀行等がある銀行のことです。
例えば、銀行はあなたからお金を借りている、すなわち債務がある状態なので、債務者の債務者ということで第三債務者となる訳です。
つまり、あなたに債権差押命令が届いたら、第三債務者にも債権差押命令が届いているので、差し押さえの手続きが具体的に行なわれていくことを意味するのです。
第三債務者に債権差押命令が届いたら、民事執行法第145条1項の規定により、 第三債務者は差し押さえの対象になる給与や預金の弁済ができなくなります。
(例えば、会社は、差押えの対象になる給与を債務者に払ってしまった場合、その分を債権者に対しても2重で支払うことになってしまいます)
そして、第三債務者は、裁判所に陳述書を送り、債権者からの取り立てを待つことになります。
預金が差し押さえ対象の場合
銀行や郵便局に預けている預金が差し押さえの対象になった場合、債権差押命令が出された時点での残金が差し押さえられることになります。
差し押さえは銀行口座の凍結ではないので、それ以降の入金分に関しては差し押さえの対象にはなりませんし、差し押さえ後に残金がある場合は自由に引き出すことも可能です。
ただ、最初に差し押さえ分が引かれて、それでも債権の額に届かない場合は、次は給与が差し押さえの対象となります。
給与が差し押さえ対象の場合
給与が差し押さえの対象になると、給与から税金や保険料を控除した残金の4分の1が差し押さえの対象となります。
さらに、本来、差し押さえの対象とならない4分の3の金額が33万円を超える場合は、超えた分の全額が差し押さえの対象となってしまいます。
また、給与が差し押さえられる場合は、債権額がゼロになるまで、差し押さえが続くことになるので、気を付けなければなりません。
債権差押命令が取り下げになるケースとは?
もし、差し押さえになった段階で、預金の残高がなかったり、あなたがその会社を辞めていた場合は、債権差押命令は取り下げということになります。
債権差押命令が届いたらどうする?
では、債権差押命令が届いたら、どのように対処したら良いのでしょうか?
実際、裁判所の指示に従って、差し押さえを受け、債権がなくなるまで、待つというのも一つの方法です。
しかし、その金額が大きい場合は、債務整理を行って、債権差押命令を中止・取り消しをしてもらうというやり方もあります。
ただ、債務整理の中でも任意整理の手続きだと、債権差押命令の取り消すことはできないので、個人再生か自己破産のいずれかの手続きを選択することになります。
個人再生を行なう場合
個人再生は、民事再生法に従って借金を約5分の1に減額して、残債を3年間で分割払いしていく手続きです。
再生手続開始決定がされると、民事再生法第26条1項により、既に始まっていた差し押さえの手続きが中止され、既に差押えにあった分は、供託書が留保することになります。
そして、再生計画案が認可されると、差し押さえが取り消しとなり、差し押さえられた給与が手元に戻って来ます。
また、再生計画案が認可される前でも、強制執行の取り消しを申立てを行なうことによって、差し押さえにあった給与を取り戻すこともできます。
自己破産を行った場合
自己破産を行った場合、同時廃止と管財事件の場合で対応が異なります。
- 同時廃止の場合:免責許可決定が出るまで、差し押さえにあった給与などは留保され、免責許可決定が出た後、留保分が支払われます。
- 管財事件の場合:破産手続き開始後に、差し押さえにあった分の全額を受け取ることができます。
実際、管財事件では、一定以上の財産を持っている人が基本的には対象となり、一定基準以上の財産を債権者に分配することになります。
ですから、その分、管財事件の方が、差押えを早く取り消して、給与を受け取ることができるようになっている訳なのです。
ただ、自己破産ではすべての借金をチャラにしてもらうことができるので、その分のメリットは大きいと言えます。
債権差押命令が届いたら早めの対処を
債権差押命令が届いて、預金口座が差し押さえの対象になった場合は、差し押さえが行なわれるのは一回のみですが、別の銀行口座がある場合は、その口座も差し押さえの対象になる可能性は十分考えられます。
また、給与が差し押さえの対象になった場合は、債権額がゼロになるまで、差し押さえは続くので、会社にも居づらい雰囲気になってしまいます。
債権をすぐに弁済できれば良いのですが、難しい場合は、早めに弁護士や司法書士に相談をして、被害を最小限に留められることをお勧めいたします。