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息子が借金を繰り返すと、親としては、愛情も冷め、こんな奴は勘当してやる、そして自分が死んでも一切、相続はさせんと激怒する方もいらっしゃるかと思います。
ただ、法的には問題ないのでしょうか?
また、息子に多額の借金が発覚した場合、本当にやるべきこととは何なのでしょうか?
息子を法的に勘当できるのか?
まず、親が息子を法的に勘当できるのかという点についてですが、残念ながら、現在の民法では、勘当することができません。
一応、法的に特別養子縁組という形であれば、親子の縁は切ることができます。
ただ、この制度を利用するには、養子となる息子の年齢が原則6歳未満でなければいけないので、やはり親は子供を勘当できないということになります。
息子の借金の返済義務は原則ない
息子を法的に勘当できないとなると、親にも借金の返済義務が発生しないか心配する方もいらっしゃるかと思います。
ただ、親が息子の借金の連帯保証人になっていない限りは、親に借金の返済義務が発生することはありません。
もし、消費者金融などの貸金業者から、万が一、親が肩代わりをしてくれないかと相談しても、「息子は失踪した」とでも言いながら、冷たく突き放せば良いでしょう。
遺産を相続させないことは可能か?
ただ、もう一つ問題になってくることとして、親が死んだら、息子に相続の権利が発生して、相続したお金を、また無駄使いし尽しすというリスクがありますよね。
しかし、この点に関しては、相続廃除という形で、息子に相続をさせないことは可能です。
相続廃除については、民法第892条で以下のように定められています。
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
ただ、息子への相続は廃除できでも、息子の子供、つまり孫には代襲相続という形で、相続がされるので、その点はご注意下さい。
また、被相続人である親が、息子に財産は相続させないと遺言を残しておけば、民法第893条で、遺言執行者が、あなたの死亡後に、家庭裁判所に請求して、息子を相続を排除する手続きを行うことができます。
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
しかし、民法で認められているのは、息子が相続ができないよう家庭裁判所に請求をするところまでです。
実際に、家庭裁判所が、息子の相続人から廃除することに値するかどうかは慎重に検討されますし、相続廃除が認められない可能性も十分あります。
さらに、息子が相続できないことが正式に認められたとしても、息子は弁護士に相談しながら遺留分(兄弟姉妹以外の相続人のために法律で保障されている一定割合の相続分)を請求(遺留分減殺請求)する可能性もあります。
(ただし、親が生前に息子の借金を肩代わりしていた場合は、息子は親から「特別受益」を得たことになり、遺留分減殺請求をしても、遺留分はゼロであると見なすようにもできます)
ですから、本気で息子に相続させたくないのであれば、あらゆる法的な可能性を想定しておく必要があるのです。
息子が借金した時にやるべきこととは?
ただ、いかに借金まみれになっただらしがない息子であったとしても、あなたの息子ではあるので、
「何とかして上げようか」
という気持ちも心の片隅には残っているのではないでしょうか?
もちろん、息子の借金の肩代わりをした方が良いという話では決してありません。
息子の借金の肩代わりをして上げても、息子は益々甘えてしまう可能性が高いからです。
怒りに任せて勘当しようとするのでもなく、甘い気持ちで肩代わりをするのでもない、第三の道とは、
「自分で借金問題を解決する知識を教えて上げる」
ということです。
それが親として、本当にやるべきことではないでしょうか?
実際、多額の借金を抱えてしまった息子は、自分の力で返済する力は持っていないでしょう。
しかし、弁護士や司法書士を通じて、債務整理を行えば、法的な力で借金問題を解決することが十分可能です。
借金まみれになった息子さんを勘当しようとしても、それは本質的な解決には繋がらないので、法律の専門家の力を借りながら、本人が自分の足でしっかり立ち直っていけるよう是非サポートして上げて下さい。